2026年3月11日(水)

酷似する 「戦間期」と現代

2026年3月11日

新しい兵役制度が始まったドイツ。欧州では、戦争に備える動きが加速している。日本も米国だけに大きく依存する安全保障のあり方を見直すべき時が来ている。「Wedge」2026年3月号に掲載されている「酷似する「戦間期」と現代 第三次世界大戦を防げ」記事の内容を一部、限定公開いたします。
ナチスの過去と対決し、平和を愛するDNAを持つ若者たちが、戦場に駆り出される未来が来るかもしれない(SEAN GALLUP/GETTYIMAGES)

 ドイツに〝新たな戦前〟が近づきつつある。2026年1月1日に、新しい兵役制度のための法律が施行された。連邦軍は、今年18歳の誕生日を迎える男女に、質問票を送り始めた。市民は軍務への関心、健康状態、学歴、技能、資格などについて回答しなくてはならない。女性の回答は任意だが、男性には回答義務があり、無視すると最高1000ユーロ(18万円・1ユーロ=180円換算)の罰金を科される。さらに来年からは、08年以降に生まれた男性に対し、軍の施設での身体検査が義務付けられる。

 新しい兵役制度は2段階から成る。今年始まった第1段階は、スウェーデンをモデルにした志願制だ。「軍務に関心がある」と答え、身体検査で「適格性あり」と判断された市民は、最低6カ月間の基礎訓練を受ける。連邦軍の現役兵士数は、25年10月末時点で約18万人だが、政府は35年までに約26万人に増やすことを目標にしている。

 だが、志願制だけで約26万人の現役兵士を確保できるかどうかは未知数だ。このため政府は、強制的な徴兵を伴う2段階目を用意する。志願兵の数が不十分で目標を達成できないと判断された場合には、新しい法律を施行させ、徴兵制度を開始できる。ただし、「志願兵の数が、何年までにどれだけの水準に達しない場合に、徴兵制に移行するのか」などの細かい条件は公表されていない。

 これとは別に、有事にも徴兵が行われる。ドイツが外国によって攻撃された場合、または攻撃が迫っている場合には、連邦議会と参議院の承認を経て、政府は「防衛事態」を宣言し、徴兵制度を導入できる。連邦議会が、「外交的な緊張事態が起きている」と判定した場合にも、徴兵が行われる。政府が来年始める身体検査には、有事に何人の市民を徴兵できるかを把握する狙いもある。

 兵力増強を目指すのはドイツだけではない。フランスとイタリアも志願制に基づいた兵役制度を開始させる。クロアチアは今年、18~29歳の男性の兵役義務を復活させた。ポーランドも現役および予備役兵士の数を現在の約30万人から、39年までに約50万人に増やす方針だ。


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