ドイツに〝新たな戦前〟が近づきつつある。2026年1月1日に、新しい兵役制度のための法律が施行された。連邦軍は、今年18歳の誕生日を迎える男女に、質問票を送り始めた。市民は軍務への関心、健康状態、学歴、技能、資格などについて回答しなくてはならない。女性の回答は任意だが、男性には回答義務があり、無視すると最高1000ユーロ(18万円・1ユーロ=180円換算)の罰金を科される。さらに来年からは、08年以降に生まれた男性に対し、軍の施設での身体検査が義務付けられる。
新しい兵役制度は2段階から成る。今年始まった第1段階は、スウェーデンをモデルにした志願制だ。「軍務に関心がある」と答え、身体検査で「適格性あり」と判断された市民は、最低6カ月間の基礎訓練を受ける。連邦軍の現役兵士数は、25年10月末時点で約18万人だが、政府は35年までに約26万人に増やすことを目標にしている。
だが、志願制だけで約26万人の現役兵士を確保できるかどうかは未知数だ。このため政府は、強制的な徴兵を伴う2段階目を用意する。志願兵の数が不十分で目標を達成できないと判断された場合には、新しい法律を施行させ、徴兵制度を開始できる。ただし、「志願兵の数が、何年までにどれだけの水準に達しない場合に、徴兵制に移行するのか」などの細かい条件は公表されていない。
これとは別に、有事にも徴兵が行われる。ドイツが外国によって攻撃された場合、または攻撃が迫っている場合には、連邦議会と参議院の承認を経て、政府は「防衛事態」を宣言し、徴兵制度を導入できる。連邦議会が、「外交的な緊張事態が起きている」と判定した場合にも、徴兵が行われる。政府が来年始める身体検査には、有事に何人の市民を徴兵できるかを把握する狙いもある。
兵力増強を目指すのはドイツだけではない。フランスとイタリアも志願制に基づいた兵役制度を開始させる。クロアチアは今年、18~29歳の男性の兵役義務を復活させた。ポーランドも現役および予備役兵士の数を現在の約30万人から、39年までに約50万人に増やす方針だ。

