2026年3月2日(月)

Wedge REPORT

2026年3月2日

 欧州連合(EU)は、2035年以降にエンジン車とハイブリッド車を全面的に禁止し、カーボンニュートラルの電気自動車(EV)に移行する方針を掲げてきた。しかし昨年12月、この二酸化炭素(CO2)排出ゼロの達成に向けた目標が修正された。EU域内では、多分野におけるルールチェンジが頻繁に発生する。日本はどのような影響を受け、どう対処していくべきなのか。

欧州理事会本部ビルの欧州旗。加盟する27カ国は様々な文化を持ち、EU共通のルールについても受け取り方が異なる(NURPHOTO/GETTYIMAGES)

 今回、EUが修正した点は、新車販売時のカーボンニュートラルの義務を、100%から90%へ緩和したことだ。つまり35年以降も、メーカー全体の平均でCO2排出量を90%削減することが義務となる。これにより、従来禁止されるはずだったエンジン車やハイブリッド車の販売が、引き続き認められる公算だ。

 この動きは、ドイツやイタリアを中心とするEU加盟国や自動車産業側からの強い要請があったことや、EV需要の伸び悩み、電池や充電のインフラが十分に行き届いていないことなども関係している。

 フランス経済・財務省傘下の企業総局庁は、昨年12月15日に以下のリポートを公表した。

〈24年、フランスの新車乗用車販売に占めるEVの割合は17%となり、21年の10%から増加した。この大幅な進展にもかかわらず、新車乗用車購入におけるEVの市場シェアは、国家低炭素戦略(SNBC3)が設定した24年の目標である22%に対し、後れをとっている〉

 EUの規制を遵守するためには、新車販売におけるEVの市場シェアが、30年までに少なくとも66%に達する必要がある。また、フランス環境計画総局(SGPE)によると、EVの新規購入は、計画の目標と比較すると、20年から24年の累計で約33万台の遅れが生じているという。

 こうした背景による突然の変更は、開発者側に混乱を招く。日本の大手自動車メーカーで欧州勤務が長かった日本人社員は「車の開発は4、5年かかる。突然、全てを変えられないので、製造しようと思っていた車の計画そのものが変わってしまう」と指摘し、「EU規制が変わると、(車を)出す必要がなくなったり、開発を止めたりという事態が起きてしまう」と語った。

パリ郊外で充電中のEV。充電設備も少なく、EV社会はまだ遠い(YOICHI MIYASHITA)

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