2026年1月16日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年1月16日

 邦船大手3社のコンテナ船事業を統合したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が2026年度の新サービスを発表し、日本と欧州を結ぶ直行便「FP1」の日本寄港を取りやめることが明らかになった。これにより日本発欧州向け直行便は「事実上消滅」することとなり、日本発の貨物は今後、釜山などでのトランシップ(積み替え)を余儀なくされることとなる。

(y-studio/gettyimages)

 船社が表向きに掲げる理由は「定時性の確保」である。確かに紅海情勢や欧州港湾の混雑といった外的要因はあるが、それらは引き金に過ぎない。根本的な問題は、日本の港が世界の基幹航路ネットワークから、構造的に「選ばれなくなっている」という現実にある。

 関係者の間では直行便消滅を惜しむ声が聞かれる一方で、「日本寄港の取りやめは必然だった」との指摘も少なくない。データに基づけば、この結末は決して予期せぬものではなく、長年にわたる日本港湾の地位低下が積み重なった末に、招くべくして招いた事態と言える。

 今回のFP1消滅を単なる個別の航路消滅ではなく、日本の港湾が国際的な「ハブ」から「スポーク(支線)」へと格下げされた、象徴的な転換点と位置づけたい。

データが示す世界での日本港湾の地位低下

 日本から欧州への直行便が消滅するという事態は、決して突然の不運や一時的な環境変化の結果ではない。過去30年以上にわたり積み重なってきた国家戦略の差が、顕在化したにすぎない。

 まずは、以下の図表をご覧いただきたい。これはアジアの主要ハブ港と、日本の主要港湾(京浜・阪神)における、国際基幹航路の週間寄港回数を2010年と22年で比較したものである。

(出所)国土交通省港湾局資料を基にShippio作成

 シンガポールや上海といったアジアの巨大ハブ港が圧倒的な寄港数を維持し、釜山港に至っては回数を増やしている一方で、京浜・阪神への寄港数は半減した。つまり、今回のFP1消滅騒動以前から、日本の主要港はすでに世界の海運ネットワークのメインストリームから外れ、「ジャパンパッシング」は常態化していたのである。


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