2025年12月5日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2025年8月1日

 トラックドライバーの時間外労働時間の制限が2024年4月に施行され、「物流2024年問題」に突入してから、早くも1年4カ月が過ぎようとしている。“突入”後1カ月が経過した24年5月7日に投稿した「〈物流2024年問題〉物流コストの上昇は本当に物価高騰の主要因なのか?」において筆者は、折から顕在化していた物価上昇の主要な原因のひとつのように取り上げられる傾向のあった“物流費の上昇”について様々なデータに基づき分析を行った。

(Hakase_/gettyimages)

 その際筆者は、売上高に占める物流コストの割合が5%前後、輸送費の割合が3%前後のレベル、トラック運賃の値上り率も3%前後のレベルであったことに鑑み、荷主の売値を二桁の割合で値上げしなければならないような影響は、物流コストからは現出しないと結論付けた。

 その後1年以上経過した現在においても、食料品をはじめとする広範な種類の商品の物価上昇は終息しておらず、その主たる要因として物流費の“高騰”を取り上げる報道は、引き続き後を絶たないように見える。そこで今回は、前回といささか異なるアプローチで、「物流2024年問題」の物流費、特にトラック運賃を中心とする輸送費への影響を分析してみることとする。

荷主企業の肌感覚

 まずは、前回も取り上げたNX総合研究所が四半期ごとに実施している業況判断指数(DI、Diffusion Index)調査「企業物流短期動向調査」(NX総研短観)の動向から見ていきたい。

 下の図1.は、過去3カ月間のトラック運賃が値上りしたのか、値下がりしたのか、現状維持だったのかを割合(%)で示し、値上りと回答した荷主企業の事業所の割合(%)と値下がりと回答した事業所の割合(%)を差し引きした一般トラック運賃指数の推移を、20年1~3月から25年4~6月までにわたって追ったグラフである。

 ご覧の通り、前回では最新であった24年1~3月以降の一般トラック運賃指数は、24年4~6月に59に急増した後に漸減し、直近の25年4~6月には45と、ほぼ22年・23年のレベルに落ち着いてはいるものの、引き続き強い運賃値上りの傾向を示している。しかしながら、この運賃指数はトラック運賃が何パーセントくらい値上りしているといったことを示すことはできない。

 そこで、次にご紹介するのは、NX総合研究所が25年6月に行った「物流の2024年問題に関する追加調査」である。この追加調査では、「物流2024年問題」が荷主企業に与えた影響と荷主企業の取り組みに関する複数の簡単な選択式質問を、荷主企業事業所の物流担当者に回答してもらった。


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