物流の「2024年問題」に突入して1カ月が経過した。その前後から物価の高騰の主要因のひとつとして、物流コストの上昇を取り上げる報道が目立つようになっていると思われる。
例えば、「総合エネルギー企業大手、15〜25%値上げ、物流コスト増で」、「飲料製造・販売大手、値上げ、物流費高騰も影響 - 小売店の実質店頭価格は、20〜30%程度上昇する見込み」、「乳製品メーカー大手、6月1日出荷分より一部飲料を値上げ(価格改定率8.3%)、物流費上昇も影響」などである。
物流コストが売上高に占める割合は企業により異なるものであり、恐らくはこれら特定の企業の物流コストは、売上高を二桁の割合で値上げしなければならないほど上昇したことは事実なのかも知れない。しかしながら、このような報道は、現在世の中で顕在化している物価高騰の主たる要因が、「2024年問題」に端を発する物流コストの上昇にあるという認識を、一方的に消費者にインプットしてしまっているのではないだろうか。本当に、物流コストの上昇は、一般的に物価高騰の主たる要因と考えて良いのだろうか。
そのような疑問を念頭に今回は、さまざまなデータをもとに“物流コスト上昇”の実態に迫ってみたいと考える。