恐らく物流関係者の中には、商品値上げの理由として物流コストが悪者のように取り上げられることが多いと苦々しく感じている人たちが、さらにこのような記事が「2024年問題」に伴って予想される物流コスト増を抑え込もうとするプロパガンダではないかとさえ考えている人たちが、少なからずいるのではなかろうか。
目指すべき本質的な物流コスト削減
いずれにしてもわれわれはまだ、「2024年問題」に足を踏み入れたばかりであり、どの程度の物流コスト増が発生するかについては、今後注視して行くしかないであろう。
しかし、荷主企業は、これまで享受して来たサービス役務が受けられなくなることを想定した対策を取る必要があるであろう。例えば、手待ちの削減・解消のために庫内作業の改善を図ったり、荷役時間を削減するためにパレット化を図ったり、ドライバーに替わって荷役を行う従業員を採用したり、それら荷役作業の自動化・省人化・無人化を図ったりすることに新たなコストが発生する可能性は高いであろう。
下図は、先に取り上げた図が売上高物流コスト比率を物流機能別に示していたのに対し、売上高物流コスト比率を支払形態別に示した図であるが、トラック運賃を中心とする輸送費を含む「対専業者支払分」のみならず、この図では1%に満たない割合の「自家物流費」や「対物流子会社支払分」のコストが増える可能性があるということである。
しかし、このコスト増により、例えば従来一運行当たり2往復しかできなかった輸配送ルートを3往復できるようになるというような、物流事業者側の生産性向上が実現できれば、中長期的にはより本質的な物流コスト削減が可能になるのではないのではなかろうか。