2025年4月23日(水)

Wedge REPORT

2025年4月14日

 春になって街路樹の緑も艶やかになってきた。が、そんな木々を伐採する光景もよく目撃する。切り株もよく目にする。

強風によって倒れた街路樹(鶴来雅宏/アフロ)

 道路の拡幅や街の再開発といった理由もあるだろうが、病気や害虫にやられて枯れた、強風で倒れてしまった、街路樹が大木になり枝葉が繁りすぎた、根が道路に盛り上がり通行を邪魔する……といったやむを得ぬ場合も少なくない。一方で、伐採に反対する市民の声も上がる。緑を残してくれと訴える。どちらの事情や気持ちもわかるのだが、その裏に住民の高齢化や自治体の財政力の低下など数多くの問題が関わっている。

 そこで改めて街路樹とは何か、そのメリット・デメリット、そして自然環境や植物から見た街路樹のあり方を考えてみたい。

数は横ばいから減少傾向

 まず街路樹は、全国に何本ぐらいあるのだろうか。国土交通省の調べでは、2023年時点で全国に高木は約720万本、中低木は約1億4100万本となっている。2000年前後までは増え続けたが、その後横ばいから減少傾向にあるようだ。

 植えられる樹種は、イチョウとサクラ、ケヤキが上位3種。そのほかハナミズキやプラタナス、ポプラ、トウカエデ、クスノキ、ニセアカシア、ナンキンハゼなども目立つ。樹種の選定は、大気汚染や乾燥、夏の暑さ、それに病害虫に強いことなどが条件となる。

 高木は数十年から100年以上生きる。幹線道路やニュータウン建設は高度経済成長期が多かったが、その頃に植えられた街路樹は60年以上経っており、大木に成長している。直径30センチ(cm)以上、高さも10メートル(m)を超すものが少なくない。

街路樹の木陰を歩くのは心地よいのだが……(筆者撮影、以下同)

 大木は見映えがよく、広がった樹冠(樹木の枝葉が集まった部分)が木陰を作り出すため、喜ばれるものだと思いがちだ。しかし大木化した街路樹こそが、さまざまな問題を引き起こす。


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