2025年12月13日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年12月4日

 AIを軍事力整備の中心に据える韓国で「国防AX戦略」が策定された。今後5年間で国防部長官を補佐するAI政策参謀など重要プロジェクトが進行される。

 だが、明るい話ばかりではない。なんと最近6年間で韓国軍は兵力11万人、17個師団ほどが削減された。世界最悪の出生率、軍の社会的立場の低下など解決は容易でない。

AIが参謀として意思決定を支援

 11月25日ヘッドラインは、韓国政府が国防分野のAI革命に本腰を入れたことを伝えた。第1回科学技術関係閣僚会議が24日にソウルで開かれ、「国防AX(AI Transformation)戦略」が決定された。国防統合AIデータセンターの構築、来年までに5カ所の国防AX拠点整備など、野心的な計画が並ぶ。

 注目すべきは、その規模と速度だ。画像処理半導体(GPU)を最大5万枚設置するデータセンターの2030年完成を目指す。

 国防AIの開発拠点は全国5カ所で、関連企業が集積する京畿道板橋やソウルAIハブなどに来年中に設置される。民間の活力を国防に直結させる発想が濃厚で、これら拠点は今後増加されるという。

 戦略の骨格は「3大柱」で構成される。ガバナンス強化、インフラ構築、環境・エコシステム形成。AI業務を総括する組織を再編し、国防AI全般を決定する「国防AI委員会」を新設する。制度と技術を両輪で回す構えだ。

(Im Yeongsik/gettyimages)

 AI適用対象は無人自律、指揮、支援・行政の3領域に分けられ、効果が大きいと見込まれる7つのシステムを「代表プロジェクト」として優先展開される。

 地上・海上・空中の無人武器システム、長官の政策決定を支援する「AI政策参謀」、戦場で指揮官を補佐する「AI戦闘参謀」、支援・行政分野の「AI軍需システム」と「AI軍医療支援システム」が該当する。AIでの支援をどのレベルとするのか不明な部分もあるが、AIが参謀として意思決定に関わる時代が始まった。


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