世界最速で少子化が進む韓国。徴兵制があるので軍隊は人的資本の確保に悩むことはないか問われれば、そうではない。若者のニーズにあわせた人的資本政策に続いて、米海軍長官が日本に続き韓国を訪問したそのワケをお伝えする。
少子化に悩む韓国軍の人的資源政策
世界最速で少子化が進む韓国では軍隊も少子化対策に取り組んでいる。徴兵制がある韓国で軍隊が求人難に陥ることはないが、精強を維持するためには人的資本政策が欠かせない。今週の国防日報にその入口・出口戦略といえる記事が掲載された。
7日の「技術下士官委託教育」は、特殊作戦や情報など特定の兵科の下士官が大学に通って能力向上を図ることを目的とする。2021年に陸軍、22年に海軍に導入され、今年から空軍と海兵隊にも拡大される。
下士官とは、現場のオペレーターなど専門職の職業軍人のこと。作戦計画が優れていたとしても、現場で技術を使う下士官の能力が足りなければ、よい戦果は望めない。この事業の背景には、そういう事情がある。見方を変えると、軍隊に入って下士官になれば、国費で大学に進学できるという魅力化対策ともいえる。
8日のヘッドラインは、韓国語で同じ発音になる「私の仕事」と「明日」の語呂合わせだ。大学進学率が70%を超える韓国では、男性の多くが大学生活中に軍隊に入るが、兵士として服務せずに将校や下士官として数年間の短期勤務する者もいる。記事は、それら短期勤務者と徴兵を終えて社会復帰する兵士に向けた「国軍将兵就職博覧会」の様子を伝えたもので、官公庁と200社を超える民間企業がブースを出展し、若い将兵が日本の就活生と同様に面接に臨んだ。
韓国軍は尹錫悦前大統領が提唱した「国防革新4.0」の下、多くの将兵が張り付いている38度線の警備を省人化するため、AIと認証・センサー技術を活用した警戒監視システムを実証実験するなど、少子化対策に力を入れている。