2026年3月8日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2026年3月8日

(2025.11.7~12.25 49日間 総費用13万7000円〈航空券含む〉)

4人に1人、ベトナム人が突出している日本の外国人労働者

 政府統計では2024年10月末時点での在留外国人労働者は230万人であり、2026年現在では250万人を超えていると思われる。2024年10月末での国別内訳ではベトナム57万人と全体の25%を占めている。つまり日本で働く外国人の4人に1人はベトナム人ということになる。

 ベトナムに次いで出身国別では中国41万人、フィリピン25万人、インドネシア17万人、ミャンマー11万人となっている。ベトナム人労働者の増加によりベトナム人が関与する様々な犯罪のニュースが頻繁に報じられている。それゆえにベトナム人労働者に対してネガティブなイメージを抱く日本人もいるのではないだろうか。

 ベトナム国内では海外への出稼ぎ労働者はどのような社会的位置づけなのだろうか。57万人もの大量の労働者が日本で働いているが、今回のベトナム放浪旅では労働者を送り出したベトナム側から外国人労働者を考えてみたいと思った。

ダナン最大の韓国ロッテ百貨店のショッピングモールにて。ちなみに韓 国ロッテはベトナム各地で大型ショッピングセンターを展開している。韓国ロッテは中 国から撤退して東南アジア展開にシフト。写真は『ガチャ』コーナー。ガチャはどこの ショッピングセンターにもある。日本の漫画・アニメ・キャラクターなどなどベトナム 人はとにかく日本文化大好き

ベトナム人にとり海外への出稼ぎや移住は珍しくない?

 11月12日。ベトナム北部の中国国境に近い地方都市ランソン。日暮れ時、小さな雑貨屋の店先で中国からの輸入ビールを飲んだ。500ml瓶で2000ドン(≒140円)でありベトナムの瓶ビールと同一価格に設定されている。

 50代の女将の30歳の娘が中心になって店を切り盛りしているようだ。娘によると従兄は10年前にカナダに出稼ぎに行った。永住権を取得して家を購入してベトナムには戻らないようだ。

 娘の従妹は1年前に日本に出稼ぎに行き東京から北の茨城県あたりで働いているという。従妹は最低3年間日本で働いてお金を貯めるまでは故郷に戻らないとのこと。この辺りでは中国との国境貿易の他に産業がなく日本など海外への出稼ぎが多いらしい。そしてやはり海外出稼ぎでの成功例は地元の人々の羨望の的であるようだ。

 ちなみに日本の外務省と国連傘下の国際移住機関による調査『ベトナム移住プロファイル2023年版』によると2017年から2023年の間にベトナムから海外への移住は累計86万人、つまり毎年10万人以上が海外移住している。

 余談。50代の女将の旦那は8年前に亡くなり娘と2人で雑貨屋と店先の屋台で細々と商いしているが、驚いたことに女将は友人や親類と欧州やアジア諸国を何度か旅行している。田舎町の小さな店でも見掛けよりも現金収入があるようだ。

ベトナム人から見た出稼ぎ条件の日韓比較『男子は韓国、女子は日本』

 11月27日。ニンビンはハノイの南100キロに位置する比較的大きな古都である。お洒落な土産物屋の店番の女性ミューは25歳。ミューの姉は4年間日本の工場で働いて資金を貯めて美容院を開業。兄も2年前に日本に出稼ぎに行って東京から列車で数時間の地方都市で働いている。

 他方で最近では韓国への出稼ぎが増えているという。韓国は日本よりも賃金水準が高いが、一方で韓国人によるハラスメントが酷く、ベトナム人を見下すような職場風土が問題視されているという。

 ちなみに韓国の賃金水準が日本よりも2割以上高いことは2023年夏の韓国自転車旅行で筆者も理解していた(『韓国津々浦々の外国人労働者、日本でなく韓国を選んだ理由』掲載記事ご参考)。上記の『ベトナム移住プロファイル2023年版』では、ベトナム人非熟練労働者の韓国での平均月収は1600~2000米ドルであり、日本での平均月収は1200~1500米ドルとなっている。つまり米ドルベースで韓国での月収は日本での月収よりも平均25%も高いことになる。

 ミューによると総じてベトナム男子は職場環境が厳しくとも高給を求めて韓国を希望するケースが多いが、ベトナム女子は安心安全に仕事ができる日本を希望するという。ベトナムでは「日本人は仕事のスキルを教えてくれてベトナム人の労働に敬意を払ってくれる」と評価されているとのこと。日本でも雇い主のハラスメントがテレビなどで報道されることがあるが、韓国と比較すると格段に日本の評判が良いようだ。

ダナンのマッサージ店の看板。漢字・ハングル・英語のみ。街全体にハ ングルが溢れており漢字が2番目。日本語は古い看板に若干見かける程度。ちなみに2 024年度のベトナム訪問観光客は韓国460万人、中国370万人、台湾130万人 が上位3カ国。日本は5位で70万人

最近増えている中国への出稼ぎ、背景には円安・人民元高

 さらにミューによると最近は中国への出稼ぎも増えているようだ。特に広東省の広州など都市部からの求人は好条件という。中国の人民元が日本円や韓国ウオンに比較して強くなっているという背景もあるらしい。このため中国語を学ぶ若者が増えて中国語教室が人気という。ベトナムから地続きの中国南部への出稼ぎならば往復航空券の負担もないのでハードルが低いのだろうか。

 筆者は二十数年前の広東省広州市の工事現場や3K職場で働いていた“農民工”と呼ばれる中国内陸部からの出稼ぎ労働者を思い出した。当時すでに広東省など中国沿海部の先進地域では労働力不足が深刻だった。広州市郊外の農村ですら人手不足だった。広州の農家は自ら農作業せず中国内陸部の寒村からの出稼ぎ労働者を雇っていた。現在では中国内陸部もそれなりに発展して農民工も不足してきたのでベトナム人労働者を募集しているのであろう。


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