フィナンシャル・タイムズ紙の4月7日付解説記事が、トー・ラム氏は「共産党書記長」と「国家主席」という二つの職を兼任するよう選出された初の指導者であり、指導力を強固なものとした同氏が、米中覇権争い、イラン戦争など国際情勢が大きく変化する中で「達成すべきこと」を指摘している。要旨は次の通り。
ベトナム共産党書記長が国家主席にも選出され、世界でも有数の成長を遂げている同国において、数十年ぶりに最も強力な指導者となった。2024年8月から党書記長を務めてきたトー・ラム氏は、4月7日に国会により5年の任期で国家主席に選出された。共産党指導部は1月、彼が書記長を続投することを決定していた。
68歳のトー・ラム氏は、二つの職を兼任するよう選出された初のベトナム指導者であり、党と国家に対する支配力を強固なものにした。この二重の役割は、習近平氏が党総書記兼国家主席を務める中国の指導体制を彷彿とさせる。
共産党書記長として、トー・ラム氏は、世界のサプライチェーンにおいて重要な製造業国であるベトナムの成長を加速させるため、これまでも一連の官民改革を主導してきた。
党書記長に就任する前、公安省職員であったトー・ラム氏は汚職撲滅運動を主導し、その結果、何百人もの官僚や指導者が逮捕された。一部の批判者は、トー・ラム氏がこの汚職撲滅運動を利用して、自身の政敵を標的にしたと指摘している。
国家主席に就任して、トー・ラム氏の権力はさらに強固なものになるだろう。現在、同氏は国内の4つの最高指導職のうち2つを兼任している。ベトナムは、党書記長、国家主席、首相、国会議長の4人からなる集団指導体制を採用している。
ベトナムの集団指導体制が廃止されたとまでは言えないが、明らかに再調整が進んでいる。現れつつあるのは、方針を定め、実行を推進する人物を中心に置く、集団指導体制だ。
ベトナムが野心的な改革と高い成長目標を追求している現在、この体制の下で、政策決定をより迅速に、より首尾一貫した、そして断固としたものにできることは明らかである。改革を成功させるためには、各派閥や国家機構全体からの支持が必要である。
近年、米中の地政学的対立が激化する中、ベトナムは中国から生産拠点を移す製造業者の主要な移転先となっている。外国投資の急増はベトナム経済を押し上げた一方で、同国の輸出総額の3分の1近くを占める米国への依存度を高めた。
この脆弱性は昨年、トランプ大統領がベトナムに高額の関税を課した際、また多くの米政府高官がハノイを中国製品の違法な迂回ルートの中継地として名指した際に露呈した。
