2026年6月4日(木)

Wedge REPORT

2026年6月4日

 現代の日本林政の目標は、木材増産一辺倒だ。林野庁が旗を振り、皆伐を推進している。木材の増産が林業振興になるという。

100ヘクタール皆伐された山林(筆者撮影、以下同)

 日本の森林は飽和状態だから、伐ることが森林を健全にするという。植え直した若木の方が二酸化炭素の吸収も多くてカーボンニュートラルに貢献するともいう。

 こうした理屈の真偽は怪しいのだが、ともあれ皆伐が全国で進む中で問題となっているのが、再造林率の低さである。いまだに4割に達しないのだ。

 伐採しても植え直さない山が半分以上……。これでは森林蓄積は減る一方で「木材は再生可能な資源」というお題目は傷つき、持続的林業でもなくなる。将来森林が再生してこそのカーボンニュートラルも達成できない。

 なぜ再造林が進まないのか理由を解明するとともに、新たな動きを紹介しよう。

木を植えるインセンティブがない

 まず森林所有者は、伐採を契機に“林業打ち止め”にしたい気持ちを持っている。今ある木を伐って金に換えたら、次世代のための森林形成することに熱心ではないのだ。

 なぜなら林業を続けることに価値を見いだせないからだ。まず植えて収穫できるまで最低でも40年、ときに80年以上、その長い期間、森を育てる苦労を背負わなくてはならない。

 そして儲からない。植えて育てても子孫の財産にならず、むしろ赤字になる可能性が高い。理由は、木材価格が低すぎるからだ。

 木材価格は1980年代以降、下がり続けている。正確には製材価格は上がっているが、立木価格(山に生えている木の価格)や丸太価格(伐採して搬出した丸太の価格)、つまり林業家が手にする利益は下がり続けている。


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