元米中央情報局(CIA)長官で米中央軍司令官を歴任したデイビッド・ペトレイアス他が、2026年7月8日付フォーリン・アフェアーズに寄稿し、戦争において最も重要なのは、導入した兵器を効果的に運用するエコシステムと状況の変化に柔軟に適応する能力だとし、これこそ台湾がウクライナから学ぶべき教訓であると指摘している。
軍事戦略家はウクライナの戦場を、単なる購入兵器のカタログとしか見なさない危険性がある。特定の兵器システムに関する教訓も重要だが、より重要なのは、新たな兵器を効果的に運用するために必要なエコシステムに関する教訓である。
ウクライナは、無人偵察を指揮する独自の戦闘管理ソフトウェアに加え、全く新しい軍事組織である無人機部隊を擁している。また、ウクライナのエコシステムには、膨大な量の無人システムを生産し、戦場の動向に応じてソフトウェアとハードウェアを改良できる製造業も含まれる。
この広範な教訓を見落とすリスクは、より大きな侵略者の脅威に直面している台湾にとって特に深刻である。実際、台湾の指導者たちがウクライナの教訓を理解しているかは定かではない。立法院は今年初め、政府の特別防衛予算から国内での無人機生産費を削除した。
ウクライナは指揮統制をソフトウェアの問題として捉え直し、独自の戦闘管理システムである「デルタ」を独自で開発した。これは陸、海、空のセンサーからデータを収集し、得られた高精度の画像をウクライナ軍各部隊に配信する。
また、ウクライナの最大の強みの一つは、迅速な適応力である。これは支援・装備する部隊に技術者を常駐させることで可能になった。ウクライナの製造業者は、ソフトウェア、ハードウェアの変更を頻繁に行い、その結果、改良された設計の兵器が、敵が対応するよりもはるかに早く戦場に投入される。ウクライナは従来の調達プロセスでは数年かかるサイクルを数週間に短縮したのだ。
一方、台湾は防衛を「供給」するものとして捉えてきた。少なくとも1992年のF-16戦闘機購入以来、30年以上にわたり、他国の軍事ドクトリンに導かれた従来型の有人プラットフォームに投資してきた。その結果、台湾には物資調達のノウハウと米国のドクトリンには精通しても、システム開発のノウハウを持たず、独自の戦略理念を明確に打ち出すことができない体制が生まれてしまった。
台湾は、依然として高価な有人機の調達を優先し、台湾軍は無人システムが果たす役割を踏まえた新たな防衛・抑止ドクトリンを確立できていない。台湾のドローンのメーカーは、政府からの明確な需要がないと不満を漏らしている。さらに、島国で海上輸送による輸入に過度に依存する台湾は、危機に際して必要なものを、危機が始まる前に確保しておかなければならない。
