2026年8月28日(金)

深層報告 熊谷徹が読み解くヨーロッパ

2026年8月28日

 8月15日前後には、日本でも第二次世界大戦に関する報道が増える。その中で主に強調されるのは日本国民が受けた被害の面である。

(MWayOut/gettyimages)

 これに対してドイツの報道や博物館での展示では、「ドイツ人が加害者になったこと」への反省が前面に出される。

「白い旗 水木しげると硫黄島」を放送したNHK

 今年8月15日、高市早苗首相は日本武道館での全国戦没者追悼式での式辞で、「反省」という言葉を使わなかった。首相が式辞の中で重視したのは、戦場で斃(たお)れた日本兵や、国内での空襲や原子爆弾で死亡した約310万人の同胞だった。そこでは、日本軍の侵略による、他のアジア諸国での犠牲者たちは言及されなかった。

 高市首相は、日本の戦争責任をどう考えているのか。高市氏は1995年に、国会で「少なくとも私自身は、(戦争の)当事者とは言えない世代だ。反省なんかしていないし、反省を求められるいわれもないと思っている」と述べたことがある。

 8月16日に、NHKは水木しげるの反戦劇画「白い旗」をアニメ化して、「白い旗 水木しげると硫黄島」というドキュメンタリーを放映した。昨年12月5日にはアニメ映画「ペリリュー・楽園のゲルニカ」が劇場公開され、注目を集めた。

 近年、日本軍兵士が中国や東南アジアの最前線でいかに辛酸をなめたか、特に多くの兵士が戦闘ではなく病気や飢餓のために命を落とした実態が、テレビ番組、劇場映画、書籍などを通じて詳しく伝えられている。自国の犠牲者の悲惨な運命に思いを馳せ、冥福を祈ることは重要だ。

 だが我々日本人の戦争回顧は、しばしばそこで止まってしまう。8・15報道の中心的なテーマは、日本軍兵士がいかに悲惨な体験をしたかに重点が置かれがちだからだ。


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