2026年7月6日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年7月6日

東京を中心にガチ中華が流行し、在日中国人にとってはまるで「故郷にいるような便利な食環境」が整いつつある。都内には中国のかなりマイナーな地方料理を提供する店もあり、異国なのに、彼らにとって「ホーム」にいるかのような感覚だろう。だが、新刊『日本の回鍋肉にキャベツは使わない』を出版したジャーナリストの中島恵さんによると、「これほど中華料理が充実している日本にいても「味わえないもの」があり、彼らには故郷に帰ったら真っ先に食べたい食べ物がある」という。それは一体、どんな食べ物なのか。
中国のスーパーの海鮮コーナー

在日中国人の定年後の楽しみ

 都内に住む60代の在日中国人の男性、張さん(仮名)は80年代に来日し、日本で40年以上働いてきた。日本の有名大学で学んだあと、大手企業で定年まで勤め上げ、数年前に定年退職した。久しぶりにある会合で偶然会った筆者が「最近はどうしていますか?」と聞いてみたところ、「ひまになったので、頻繁に中国に帰省しています」とのこと。詳しく話を聞いてみると、現地に中古マンションを買い、そこに1か月くらいのスパンで「住む」ようになって、楽しみが増えたという。

 「日本企業に勤めていたときも、年に1~2回、中国に帰省する機会はあったのですが、もう実家はないので、ホテルに泊まって親戚や旧友に会う程度で、あまり生活を楽しむ余裕はなかったんですね。でも、今は自宅があるので、そこを拠点にして、落ち着いて過ごせるようになりました。

 でも、何か特別なことをするわけではありませんよ。スーパーに行って食材を買ってきて、自宅のキッチンで中華料理を作るんです。大きいスーパーがあるので、そこで食材を買うのが、とにかく楽しい。中国のスーパーには、日本ではあまり売っていない中国野菜や珍しい果物がたくさんあるし、肉は部位ごと、魚は生きたまま売られていることが多いんです。それを見て歩き、吟味するだけでも、あっという間に時間が経ちます。

 それを持ち帰って自宅で調理し、妻と2人で中国のテレビ番組を観ながらゲラゲラ笑い、美味しい料理を食べる時間は至福のひととき。日本に住んでから何十年もの間、できなかったことです」


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