2026年7月18日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年7月17日

ガチ中華が流行している。「会社の同僚に中国人がいるから、今度美味しいガチ中華のお店を紹介してもらって食べに行こう」と思っている日本人もいるはず。だが、中国生まれの中国人でも苦手な中華料理があり、好みは出身地にかかわらず、人によって千差万別だ。新刊『中国の回鍋肉にキャベツは使わない』を出版したジャーナリストの中島恵さんは、身をもってそれを経験したという。
最近のブームではガチ中華は「湖南料理」を指すことが多い印象

ガチ中華と言えば「四川料理」「湖南料理」

 筆者は中国人の取材をするとき、「中華料理店」に行くことが多い。応接室で取材するよりも、リラックスした状態で彼らと話ができるからだ。ガチ中華が流行する以前は、料理雑誌やネットで探してきた中華料理店を提案したり、彼らが好きな店を教えてもらったりして、そこに一緒に行くことが多かった。だが、ガチ中華の流行以降、気がついたことがある。それは、「中国人にも苦手な中華料理がある」ということだ。

 「何を今更、そんなわかりきったことを……」と思う読者もかもしれないが、筆者がそう思った背景には、巷でガチ中華と呼ばれている中華料理のジャンルの半数以上は四川料理や湖南料理といった「辛い料理」が中心であることと関係している。

 もちろん、都内には上海料理や広東料理など「辛くない中華料理」を提供する店もたくさんある。だが、ここ数年、流行しているガチ中華といえば、麻辣湯(マーラータン)、水煮牛肉(激辛の牛肉煮込み)、四川火鍋といった、比較的辛い中華料理が多いのではないだろうか。麻辣湯は専門店があるが、それ以外で流行しているガチ中華は、ほとんどのものが辛い、というイメージを抱いている日本人もいるのではないかと思う。

 そのため、取材先と一緒に「ガチ中華を食べに行こう」という話になったとき、自然と、四川料理店や湖南料理店の名前が候補に挙がる機会が増えていった。

 以前なら、「Aさんは上海出身だから、やはり上海料理がいいかな」とか、「Bさんは武漢出身だから、あの武漢料理の店をきっと知っているだろう。あそこに行くのが喜ばれるかな」というふうに、その中国人の出身地を考慮し、好みを推測してからお店選びをしていたのに、ガチ中華が流行してからは、そういう考えに基づく「お店選び」は減少した。


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