2026年8月3日(月)

World Energy Watch

2026年8月3日

 今年の5月下旬から始まった欧州の熱波は6月に各地で最高気温を更新した。熱波は米国にも及び、7月末のフェニックスの気温は摂氏45度と予測されている。欧州でも7月末からまた気温が上昇する予想だ。

熱波による猛暑が続くパリで、レストランが設置した手作りのミストで頭を冷やす男性(ロイター/アフロ)

 欧州では家庭のエアコン普及率が23%しかなく、熱中症の死亡者を増やしていると指摘されている。米国の普及率は93%、日本は92%だ。なぜ欧州の家庭ではエアコンの導入が広がらないのだろうか。

 次の理由があげられている。「欧州ではエアコンを贅沢品と考える消費者が多い」、「古い住宅が多く、構造上、景観上室外機を設置できない」、「ドイツなどでは5割の住民が賃貸住宅に住んでいるのでエアコンを付けられない」、「温暖化対策に熱心な政府の規制が厳しい」などだ。

 しかし、上述の中にはない大きな理由が、欧州でのエアコンの導入を妨げている。欧州の熱波の状況、その影響を見た上で、エアコン問題を考えてみよう。日本にとっても他人事ではない話だ。

欧州熱波の原因の一つはヒートアイランド現象

 6月の熱波により欧州の多くの都市の気温は40度を超えた。熱波の原因は広範囲に高気圧が留まるヒートドームと呼ばれる現象だ。

 今までの熱波より気温が上昇している原因として地球温暖化があげられることが多い。しかし、温暖化が数年間で気温を大きく上昇させることは考え難い。

産業革命からの気温上昇を1.5度に抑制することが、今の世界の目標になっている。既に、温暖化により産業革命以来気温が3度も4度も上昇しているのであれば、1.5度を目標にする意味はないことになる。温暖化だけが熱波の原因ではない。

では、なぜ気温が大きく上昇するのだろうか。都市化により都市部の気温が上昇するヒートアイランド現象が気温に大きな影響を与えている可能性が指摘されている。

 例えば、エアコンからの排気はヒートアイランド現象の原因の一つだ。暑くなるのでエアコンを使用すれば、さらに気温が上昇しエアコンの使用が増える悪循環になる。ベルギーのデータでは、都市部の気温は農村部の気温よりも最大4度高いとされている。

 欧州連合(EU)の宇宙計画局は、ベルギーの首都ブリュッセルの衛星写真の分析から都心部の地表面温度(気温ではない)が47度の時に、近郊のソニアの森の地表面温度は24.5度しかなく(図-1)、都市部のヒートアイランド現象に対し植生が冷却効果をもたらすと指摘している。


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