エアコンの電気料金が支払えない消費者
欧州でエアコンの導入が進まない大きな理由は、初期費用と電気料金だ。特に平均所得が低い国ではエアコンを購入する余裕がない消費者が多い。
EU全体では38%の消費者がエアコンを購入する余裕がないと回答しているが、国により差がある。中東欧諸国、バルト三国では余裕がないと答える消費者が多い。ポーランド52%、リトアニア51%だ。
ロシアのウクライナ侵攻により上昇した電気料金が下がりきらない状況は、消費者にエアコンの導入を躊躇させている。西欧州の多くの国の家庭用電気料金は日本よりも高くなっている(図-6)。
再生可能エネルギーの比率が高いドイツ、デンマーク(図-7)の家庭用電気料金は、日本の約2倍だ。
エアコンを購入しても電気料金の支払いが家計に影響を与える。米国カリフォルニア州とハワイ州でエアコンの導入比率が低い理由のひとつにも、高い電気料金があげられている。
米国のいくつかの州の家庭用電気料金を図-8に示したが、家庭用電気料金が全米一高いのはハワイ州。次いでカリフォルニア州だ。今年5月の家庭用電気料金は、それぞれ1キロワット時(kWh)当たり52.00セント(85円)と33.25セント(54円)だ。
両州の料金は日本の家庭用電気料金の平均1kWh当たり30円台と比較してもかなり高い。エアコンの導入をためらう消費者が多くなるのも当然だ。
今までエアコンに否定的だった欧州の環境政党からもエアコンの必要性を理解する声がようやく上がり始めた。エアコンの導入に必要なのは競争力のあるエネルギー価格だ。熱波は、競争力のある電気料金が必要なことを改めて認識させた。
データセンターと冷房用の電力を安定的に競争力のある価格で供給することが世界の主要国の大きな課題として浮上する中で、日本も気候変動問題とのバランスのとり方を考えるべき時だ。



