2026年9月21日(月)

30分の旅

2026年9月21日

 秋といえば、どんぐりである。

 通勤途中、あるいは近所を散歩するとき、足元に注意すれば、転がっているどんぐりの1粒や2粒が見つかるはずだ。日本はどんぐりの木だらけ、二十数種を数える「どんぐり王国」なのである。

日頃何気なく見かけるどんぐりは、長い時代を築いてきたのだ(KONOPLYTSKA/GETTYIMAGES)

 どんぐりとは広葉樹のブナ科に属する木々の堅果の総称だ。都会でよく見かけるのはシラカシやマテバシイ、郊外ならクヌギやコナラだろう。神社やお寺の御神木としてしばしば見かけるのはスダジイである。小ぶりのどんぐりは炒めて食べると抜群においしい。柏餅の葉っぱ、カシワもどんぐりの一種だ。ウイスキーの樽材として利用されるミズナラは高地性のどんぐり。高級木炭の原料であるウバメガシもどんぐりである。

 私たちの身の回りにはどんぐりの木がいっぱいある。偶然ではない。人類の文明はどんぐりによって支えられてきた。そう論じる本が『ドングリと文明』(ウィリアム・ブライアント・ローガン、日経BP)である。地中海沿岸の北アフリカや中東、ヨーロッパ、インド、東アジア。コメや小麦の品種改良が行われ巨大農業が発生し、狩猟採集文明を経て、定住型の四大文明が誕生したこれらの地域には、巨大農業以前から人類の定住化を促した植物があった。それがどんぐりなのだ。


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