2026年9月21日(月)

30分の旅

2026年9月21日

どんぐりと人類の歩み

 トルコのチャタルヒユクは、巨大農業が発展する以前の、約9000年前から高度な都市文明があったことで知られている。日本においても、縄文時代にまとまった集落が生まれていた。青森県の三内丸山遺跡だ。どちらにも共通するのは、どんぐりの木の仲間やオーク、クリの実を食料として、材木を住居や燃料として用いた「どんぐり文明」があったことだ。縄文時代にクリやクヌギを人工的に栽培していたことも判明している。北米のカリフォルニアにも、白人が入植してくる19世紀まで、どんぐりを食料とした数千年以上続くネイティブ・アメリカンのどんぐり文明があった。

 世界中が大型農業の時代を迎えると、食料としてのどんぐりの価値は相対的に下がっていく。だが今度は、材木として、燃料として、人類の文化の発展を支え続けた。大航海時代にヨーロッパを出航した船も、巨大建築の骨組みも、どんぐりの木=オーク材が使われ重宝された。

 日本でも同じである。戦後、電気やガスが普及するまで、クヌギやコナラの薪炭林は日本中にあった。成長が早いどんぐりの木を定期的に切り、薪を得て、炭を焼き、重要なエネルギーとしていた。その名残がいまも全国の近郊に残された薪炭林。その新たなユーザーが皮肉にも、全国で人的被害を及ぼしているクマである。

 20世紀、石油と電気の文明の時代が訪れ、どんぐりは人類の文明の基盤となる役目を終えた。だが、どんぐり自体が消えてなくなったわけじゃない。私たちを支えてくれた木々が枝を空に広げ、秋になれば大量のどんぐりをばら撒いてくれる。

 どんぐりから人類の壮大な歴史を妄想する。それもまた30分の旅の醍醐味、である。

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大膨張する日本の借金 「国民総ゆでガエル」から脱却を
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日本の借金が大膨張を続けている。債務残高対GDP比は200%を超え、世界最悪の水準にある。こうした中で、「消費減税」が打ち出されたが、この選択の先に待ち受けているものは何か。もちろん、本当に必要な支出もあり、「借金=すべて悪」とは言い切れない面もある。しかし、あまりにも身の丈を超えすぎていないか。将来世代に過大な負担をかけないためにも、適切な給付と負担は不可避であり、それこそ民主主義の基本だ。財政再建に向けて、打開策はゼロではない。現実を直視し、今こそ、新たな一歩を踏み出さなければならない。


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