「新しい競技」と分類されるスポーツが躍進を続けている。ここまで人気を集める理由と、そこから広がる未来を取材した。
ピックルボール
「競技に触れる人が増えれば、そのおもしろさが分かる『観る人』も増える。するとスポンサーが参入し始め、やがてプロが育ち、ジュニア層への投資が増え、道具が売れて教育施設も充実して……。歯車が回り出せば、名もなきスポーツは一つの『産業』に成長していくのです」
期待を込めてそう語ってくれたのは、ピックルボールワン代表取締役の熊倉周作さんだ。
ピックルボールとはどんな競技か。一見テニスに似ているが、コートのサイズはバドミントンと同じ。プラスチック素材のボールには穴が空いており、羽子板のような形状のラケットは「パドル」と呼ばれる。
もともとテニスの世界ランカーだった熊倉さん。彼が語るピックルボールの奥深さには説得力があった。
「経験者と素人が戦う時、テニスではなかなか成立しません。経験者は思い切り打てないし、相手のサーブは入らずにラリーも続かない。でも、ピックルボールは『おもしろい』。穴が空いたボールは空気を通して失速します。つまり、球の速さが強さにも比例するテニスとは違うんです。たとえ実力差があっても、それがプレーの内容には如実に反映されない。だからこそ戦略が生きるし、親しみやすくもあるのだと思います」
