米国、イスラエルによるイラン攻撃後、いまだ情勢には落ち着きが見られない。トランプ大統領といえども、戦争を始めることはできても、終わらせることは容易ではないようだ。結果として、トランプ政権はすでに約6兆円の戦費を割いている。米国が中東に深く関わることは今に始まったことではないが、中国にしっかりと向かい合うべき今、トランプ政権の戦略に集中力が欠けている点は危うさを感じさせる。
さらに、交渉を好むトランプ大統領は外交に積極的だ。5月にも習近平国家主席と北京で会談したが、今年中にあと3回の首脳会談が予定されている。北朝鮮に再接近しかねないとの観測も多い。
果たして、米国はこの地域の安全保障に関与を続けるのか。その意思は信頼に足るものなのか。
日本と韓国は、中国や北朝鮮など課題への優先順位は異なるにせよ、同盟国の米国を必要としており、似たような不安を抱えている。そしてこの共通性こそが、日韓関係にこれまでにない推進力を与えている。
だが、このような日韓関係のピークがいつまでも続くとは思えない。だからこそ今のうちに、互いに利益をもたらす協力について制度化を進め、どれほど関係性を「貯金」できるかが両国の社会にとって必要だ。
現在の日韓政治関係の起点は、実は高市早苗政権の発足前にある。2025年8月、石破茂政権末期に就任したばかりの李在明大統領は、ワシントン初訪問前に日本に立ち寄った。
この選択には二重の意味があった。米国との同盟が不確実な時代に、同盟を補完するもう一枚のカードを確保するという保険の論理。そして、日韓関係を両国はきちんとマネージしていることを米国にみせるシグナルの論理である。
実のところ、日韓両国の同盟国である米国には共同発信が効果的だ。トランプ政権といえども、米政府内や米軍には中国を念頭にアジアの重要性を理解し、同盟を前提に地域関与を続けようとする人々が残っている。日韓が一緒になり、安全保障で一層の責任を背負うと、米国の負担共有を語るからこそ、米国の同盟派も「我々もやろう」と政府内で説明できる。
実用外交を唱える李大統領の韓国は、日本に倣うように、米国を地域に引き留めるために積極的な安全保障政策と日韓関係を「みせる」必要を理解していたのである。
