2026年9月4日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月4日

 ファリード・ザカリアが、2026年8月14日付ワシントン・ポストに「イラン戦争は超大国の信頼性を浪費するための優れた教室である。トランプは約束を脅しのように扱っている。同盟諸国は代替策を築くことで対応している」との論説を寄せ、トランプ外交を批判している。

(ロイター/アフロ)

 地政学的地震が中東を揺り動かした。ここ10年敵対的であったサウジアラビアとトルコがお互いを守るために戦争をすることを誓った。パキスタンとともに彼らはメッカ共同防衛合意に署名し、この1カ国への攻撃はすべてへの攻撃として取り扱われると宣言した。

 何が彼らを一緒にしたのか。トランプ大統領とその言葉に対する信頼の欠如である。イラン戦争はどう信頼性を浪費するかを教えるよい教室であった。

 昨年サウジアラビアとカタールは安全保障上の誓約をトランプから受け取った。しかしトランプの言葉は外国の相手に対して確固としていない。

 トランプはテヘランとの取引は数日後だと繰り返し言明した。6月半ばまでに、取引は近い、またはイランは絶望的に取引を欲しているとの発言は少なくとも38回行われた。

 しかしイランは、交渉が「全く進んでいない」と述べた。世界はトランプの発表を事実とフィクションの混合物であると取り扱うことを学んだ。

 欧州でも同じことが見られる。5月、米国防省はドイツから5000人の米兵員を引き上げると発表し、トランプはより多い削減を示唆した。米国防省はその後ポーランドへのほぼ4000人の兵士派遣計画を取りやめた。数日後、トランプは追加の 5000人の兵士がポーランドに行くと発表した。時々トランプはロシアから欧州を守らないと脅し、他の時には守ると言う。

 トランプは、米国がホルムズ海峡を「完全にコントロ―ル」していると述べた。しかし、船舶追跡データは、戦争前に一日130隻以上であった船舶の同海峡通過は今、14隻であるとしている。これは米国のパワーにかかわる。

 80年間、米国は信頼を築いてきた。同盟諸国は米国の約束は政権が代わっても続くと信じてきた。敵国は米国の脅威は現実の重みをもつと理解していた。米国は約束を破り、間違いも犯した。しかし米国は予測可能であり、大統領の言葉は意味を持つとの了解があった。


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