2026年9月4日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月4日

 しかし、予測不可能性は不動産交渉と同盟運営においては全く異なる。もし同盟国が部隊は来るのか来ないのか、関税は高くなるのか下がるのか、今日署名された合意は明日も生き残るのかを知らないと、従順にはなれない。彼らはもっと自立的になる。

 諸国は保険をかけている。デンマークは米国のパトリオットではなく、仏伊のSAMP/T防空システムを選んだ。カナダはF-35購入を再考慮している。

 欧州各国は武器産業への投資を増やしている。オランダの中央銀行は米国への技術的依存を減らすために重要なクラウド・サービスを欧州のプロバイダーに移した。そして今サウジアラビアとトルコ、パキスタンは彼ら自身の安全保障機構を作っている。これらの動きのいずれもそれ自体では米国との決裂にはならないが、これは米国の言葉に対する信頼が失われてきていることを示す。

 もし米国が関税で脅し、譲歩を引き出し、その後関税で再び脅すと、各国が同調は安全を与えないと結論付ける。今年の初め、カナダのカーニー首相は、もし諸国が応諾は安全をもたらすと希望してもそうはならない、だから合理的な対応は代替策を作ることだと述べた。

 イスラエルのネタニヤフ首相さえトランプの提案を真剣に受け止めず、米大統領のガザのための15項目提案を拒否した。彼は大げさにトランプの多くのプランが発表され、早く忘れられることを見てきた。ガザ・リビエラ計画もその例だ。偉大な国が衰退するのは、諸国が偉大な国の周りに集まることをやめた時である。

 米国はいまも強力な力を持つ。米国は世界一の軍事力、最先端の技術、大きな資本市場、強力な同盟、ドルを持つ。しかし信頼性は数世代にわたり蓄積された財産であり、それは驚く程簡単に消費され、浪費される。

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日本の外交にも影響

 このザカリア論説はトランプ大統領が米国への信頼をいい加減な言動で損なっていることを指摘したものである。ザカリアの指摘は的を射ている。

 トランプの言葉の軽さの例をザカリアはいくつも上げているが、世界の各国は、安全保障についても経済についても、トランプの言葉への信頼を失ってきており、その結果、より自立的に行動するようになっている。米国は今尚超大国としての実力を持つが、米国への信頼性は著しく毀損されてきたと言わざるを得ない。米国の世界での立場の悪化は、日本にとっても問題を提起する。


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