精密誘導巡航ミサイルなど米軍の弾薬不足が露呈し、大きな問題となってきた。ロシアと対峙するウクライナ軍への支援のほか、対イラン戦争長期化が主な原因だが、軍事専門家の間では、中国による台湾侵攻の際の米軍対応への影響は不可避、との見方も出ている。
相次いで報じられる米軍の弾薬不足
米軍弾薬不足の深刻化に最初に警鐘を鳴らしたのは、首都ワシントンのシンクタンク国際戦略問題研究所(CSIS)だった。CSISは去る7月27日付けで、米軍弾薬のうち、とくに「迎撃兵器」が払底しつつあることについての臨時レポートを公表した。
そのハイライトは以下のようなものだった:
・米軍は対イラン軍事作戦の第一段階(2月28日~6月19日)でイラン側のミサイル攻撃に対し果敢に迎撃し、イラン側に甚大なダメージを与えたが、そのために大量のパトリオット地対空ミサイルおよびTHAAD(高高度弾道ミサイル迎撃システム)の投入を必要とした
・その後の戦闘再開でこれら兵器は一層備蓄が少なくなり、7月段階で在庫数はパトリオットが827基以下、THAADが278基以下となったと推定される
・対イラン作戦開始前の米軍のパトリオット保有数は約2200基、THAADは約452基だった
・累計で、米軍は2月から7月までの作戦でパトリオットの全保有数の約65%を使い果たし、THAADについては作戦開始前当時の保有数と比較して約38%減となったことを意味する
・これら兵器の減少は、迎撃作戦上のさらなるリスクを余儀なくされることになるが、当面、パトリオットとTHAADにとって代わりうる兵器は存在しない。海軍艦船は飛来ミサイル攻撃の脅威に対処する通常型ミサイルを装備しているが、概して遠距離対処には向いていない
・これら兵器の消耗は西太平洋のおける対中国戦時態勢面での短中期的リスクをもたらすことになる。トランプ政権が2027会計年度兵器関連予算950億ドルに加え、新たに210億ドル追加要請したことは、こうした「緊急性」を反映している
