外交問題評議会のリチャード・ハース名誉会長が、Project Syndicateに6月2日付で掲載された論説において、米国をかつてのようには頼りに出来ない世界にあっては、米国の同盟国・同志国は相互の間に新たな地域的その他のパートナーシップを構築することが現実的なオプションであることを論じている。要旨は次の通り。
昨年11月に公表された米国家安全保障戦略は「米国がアトラスのように全世界秩序を支える時代は終わりである」と宣言した。米国への依存を国家安全保障の中心的教義として来た米国の多くの同盟国と同志国にとって特に重要な変化だった。
先般、シャングリラ・ダイアログの演説でヘグセス国防長官は「我々が必要とするのはパートナーであって保護国ではない」「我々は共通の責任の上に築かれる同盟を追求するのであって依存ではない。これは新しい時代における我々の同盟の成熟した状態である」と述べた。
この米国の考え方は、米国の安全保障のパートナーはあまりにも長くその役割を十分に果たしてこなかったという見解を反映している。
米国の同盟国と同志国は、自国に近い所では責任を負うことが合理的である。米国は欧州、インド・太平洋、中東、西半球を含む多数の地域でユニークで広範な世界的責任を有しており、そこに米国の軍事的能力とコミットメントの間のギャップを狭めるという米国のより大きな動機がある。
複数の緊急事態が同時に発生するならば、このギャップは直ちに明らかとなるであろう。イラン戦争は米国の能力とコミットメントの間のギャップを既に浮き彫りにしている。
米国の伝統的なパートナーは自身の安全保障戦略を考え直し始めている。これは正しいことである。
アジアでは、米国を中心とするハブ・アンド・スポークスの同盟体制はネットワークによるアプローチ――米国の同盟国が互いに協力して侵略を抑止し対処する上で補完的な役割を果たす――に道を譲る必要がある。
最も明白なパートナーはそれぞれの地域に見出すことができる。まず、日本と韓国が思い浮かぶ。ロシアを懸念する欧州諸国や、イランを不安視する中東諸国も思い浮かぶ。しかし、パートナーシップは地域限定である必要はない。
サウジアラビアは、ドローンの製造と配備の広範な経験の恩恵に浴すべくウクライナとの新たな関係を構築しつつある。韓国はポーランドでのミサイル生産に投資しつつある。
また、米国との安全保障関係を作り直すことも理にかなっている。米国との関係を機能させるには、分業を再定義し、役割を再考し、指揮系統を再構築して、パートナーにより大きな発言権を与える必要がある。
