ウォールストリート・ジャーナル紙の5月20日付け解説記事が、米国はキューバの指導者ラウル・カストロを殺人罪で起訴し、ベネズエラのマドゥーロ政権のように屈服させようと圧力をかけているが、両国の状況には違いがある、と論じている。要旨は次の通り。
トランプ大統領は、キューバの指導者ラウル・カストロを殺人罪で起訴し、米国の裏庭で権力を行使するモデルとしてベネズエラの指導部を転覆させた手法をハバナの共産主義政権を屈服させるために用いている。
マドゥーロの後継者であるデルシー・ロドリゲス副大統領が米国の要求に応じたようにトランプは、キューバでも同様のシナリオが再現される可能性を示唆し、「西半球を不安定化させ、米国を脅かす者は、必ず報いを受けることになる」とのメッセージを20日のキューバ独立記念日に発表した。
米政権当局者は、ベネズエラの暫定大統領の緊密な協力姿勢を称賛し、キューバでも政権打倒の交渉ができる政権内部指導者を探しており、これを「キューバのデルシー探し」と呼んでいると報じられている。
しかし、多くの識者は、ベネズエラはキューバとは異なり、米国がカラカスでの成功と呼ぶものをハバナで再現するのははるかに困難だと指摘する。
トランプ政権は、2026年末までにキューバ政府に大きな変化が起こると予想している。米国がキューバに課した石油禁輸措置は、キューバ経済に壊滅的な打撃を与えており、燃料不足の事態悪化は、キューバの治安機関と軍の作戦能力を危険にさらす可能性が高い。
キューバには同盟国がほとんどなく、米国が軍事行動を取り更なる経済措置を講ずる場合に支援する国は皆無だ。かつてキューバの友好国だったベネズエラは、マドゥーロの失脚で、もはや補助金付きの石油を供給しなくなり、ロシアと中国は別の問題に注力している状況だ。
それでもなお、ベネズエラとキューバの間には大きな違いがあり、トランプの計画に暗い影を落としている。
マドゥーロは選挙不正の疑いが濃厚視され、ベネズエラには活発な野党運動、強力な民間セクター、そして豊富な石油・鉱物資源が存在する。マドゥーロ政権は長らく、派閥間の対立を抱える汚職政権と揶揄されてきたが、そのうちの一つがマドゥーロを裏切り、政権を奪取したのだ。
