2026年8月7日(金)

脱「ゼロリスク信仰」へのススメ

2026年8月7日

 多摩動物公園でライオン3頭が熱中症とみられる症状で相次いで死亡し、大きな話題になった。だが本当に注視すべきは、同じ高温多湿の東京で、はるかに多くの「人」が熱中症で亡くなっているという事実である。

避難所に足りなかったエアコンを自衛隊が設置していった(防衛省・自衛隊(災害対策)公式Xより)

 そして今、震度7に見舞われた熊本の被災地では、停電と断水が重なり、熱中症のリスクが日常とは比べものにならないほど高まっている。被災地では避難所へのエアコン整備が急ピッチで進み、報道では設置がおおむね行き渡ったとされる一方、危険はより見えにくい「車中泊」と「自宅」へと移っている。改めて熱中症の原因と対策を考える。

停電・断水と猛暑が同時に襲う熊本

 2026年7月の東京は記録的な暑さで、都心の最高気温は25日に37.1℃、月平均湿度は77%に達した。東京都監察医務院と東京大学の分析によれば、13〜23年に東京23区の屋内で熱中症により死亡した1295人の多くが高齢者で、屋内死亡の大半はエアコンが使われていなかった。

 マグニチュード7.1の地震が発生した熊本では、1週間後の8月4日時点で、死者は関連調査中を含め38人、約7600人が避難生活を送り、停電はおおむね解消したものの、県内では約4万4000戸で断水が続いている。国は断水の解消を「8月中」と見込んでおり、生活用水が乏しい状態はなお続く。

 被災地には熱中症警戒アラートが出され、8月上旬は最高気温35℃以上、40℃に迫る日もあった。発災直後は、避難所に指定された学校体育館の常設エアコン設置率が約2割にとどまり、停電で開設できない指定避難所もあるなど、避難所の暑さが深刻な課題だった。その後、防衛省が調達したスポットクーラー約300台や、ダイキン工業などが提供した移動式エアコンが順次配備され、報道によれば稼働中の避難所へのエアコン整備は急ピッチで進み、おおむね行き渡ったとされる。

防衛省・自衛隊(災害対策)公式Xより

 つまり、避難所の空調という「点」の対策はひとまず前進した。残された、そしてより見えにくい問題が、余震を警戒して車中泊を続ける人、断水や停電で自宅にとどまる人の熱中症対策である。

 実際、8月3日には車中泊をしていた被災者が熱中症の疑いで死亡している。避難所を出た先、あるいは避難所に入らなかった人たちにこそ、いま最も注意が必要だ。


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