近年の日本の暑さは尋常ではない。2025年6月〜8月(92日)の真夏日(日の最高気温30℃以上)は、東京で69日(75%)、大阪で75日(81.5%)。6月は梅雨なのだが、全く効き目なしというのが、令和の現実だ。この傍若無人な暑さに対抗するために、体を冷やすための冷たいドリンク、日差しを避けるための帽子、ミニ扇風機、うちわ、もしくは扇子の風起こしグッズは必需品。昭和の夏は軽装だったが、令和の夏は多装備。が、しっかり持って行かないと熱中症になる可能性がある上、多くの場合、外で買い足す羽目に陥る。
さらに付け加えると夏の買い物に、トート型のクーラーバッグを持ち歩くようになった。自宅とスーパーの間は5分くらいなのだが、それでもアイスクリームは溶け始めるので、クーラーバッグに入れるためだ。実に面倒な夏になったものだ。
困ったをビジネスチャンスと捉える
実は、新しい「困った」はビジネスチャンスと言える。必要は発明の母という言葉と同じだ。暑さを凌ぐためのイロハのイは、日陰に入ることだ。太陽光は、可視光、赤外線、紫外線からなる。赤外線は熱線とも呼ばれ、温熱作用を持つ。ちなみに割合は、52:42:6%。紫外線は割合は少ないのだが、化学作用を持つため、弊害が出やすい。クルマ、音速きのNOxなどで、オゾン層が破壊されると、太陽光が地上に到達する割合が狂ってくる。今の環境は人類が進化した時と環境が違うわけだ。大袈裟な言い方をすると、絶滅の要因の一つになる。
対応策としては冷やすという方法もあるが、野外では、日陰に入るのがてっとり速い。太陽光の熱線を封じるのも効果がある。技術的には「遮熱」となる。
「遮熱」技術とクーラーバッグ
熱を取り入れない、逃がさないものというと、魔法瓶 だ。日本はこんなにニーズがあるのかなというくらい、魔法瓶メーカーが多い。現在、「オルゴ」「グロリア魔法瓶製作所」「サーモス」「SUS」「象印マホービン(以下 象印)」「タイガー魔法瓶(以下 タイガー)」「ピーコック魔法瓶」「不二製作所」の8社。昔は22社もあったそうだ。
8社の中で特異なのは、サーモス。サーモスは元々、ドイツのテルモス社の商標の英語読み。世界各地でサーモスは魔法瓶の俗称になっている。高圧洗浄機を使って洗車するのを「ケルヒャーする」と言うのと同じ。そのくらい、ポピュラーなブランドだ。
昔はメッキされたガラス瓶が使われていたが、衝撃が加わるとすぐ壊れた。アウトドアで使えなかった。
今、魔法瓶と言われるものは真空ステンレスボトル。作ったのは、日本酸素。1978年のことだ。日本酸素が1989年にイギリス、アメリカ、カナダのサーモス事業を買収し、世界のサーモス各社を傘下に収めた。
だが、メーカーの商品ラインアップを見るとサーモスと、象印、タイガーとは、かなり違う。双方とも、各種魔法瓶は全部揃っている。象印、タイガーは炊飯器の雄。キッチン家電のラインアップが凄い。
一方、サーモスのキッチン家電はコーヒーメーカーのみ。象印、タイガーにないラインアップというと、ソフトクーラー・バッグ、そしてアパレル小物だ。
アパレル小物は、「&ONDO(アンドオンド)」というブランドで展開し始めた。2024年からなので、今回で3回目。導入は、秋・冬物から始まったので、春・夏物は今年が初めてとなる。ユニクロの「ヒートテック」のように、機能性アパレルのキーは高機能繊維だ。
今回、日傘をラインアップするに当たり、サーモスは、2層構造の生地(高遮熱タイプ)を採用。高密度の2重織り生地は、「遮熱」と「撥水」を行う。撥水はフッ素フリーの環境配慮型だ。そして内側は、黒のラミネートフィルム。「遮熱」「遮光」「UVカット」「近赤外線カット」の多機能だ。
こうして晴雨兼用で使え、遮熱率:60%以上、遮光率:100%、UVカット率:100%、近赤外線カット率:99.9%以上という高遮熱タイプの日傘(SG-C601F)が出来上がった。ちなみにサーモスは、JIS L1951の遮熱性試験を行い、その結果をカタログなどで使っている。JISは日本産業規格。国家規格だ。日傘は帽子と違い、首筋も遮熱する。滅茶苦茶涼しいしい。
傘の扱いが変わる可能性
モノを大切にする日本だが、その中で傘は使い捨て感が強い。理由は、ビニール傘の普及だ。ビニール傘は日本発の製品。作ったのは台東区のホワイトローズ社。1958年のことだ。布傘を扱っていた問屋の多くは扱わなかった。だが、1964年東京五輪で海外観光客が、これは面白いと認める。ニューヨークに輸出することになり、ニューヨークで流行る。
日本は平安の昔から、舶来品(唐物)に弱い。当時、最先端であるニューヨークの流行を捉え、徐々に普及を始める。が、問屋とのいざこざの過去があったため、コンビニ、駅前のカメラ店などを中心に販売することになる。
しかし、困ったこともある。特徴がないのだ。隣の人の傘と見分けが付かない。傘立てに置いておいて、間違えて持って行かれても、自分のだと言い張れない。大量生産で価格が下がるにつれ、ビニール傘は使い捨て感覚が生まれた。どこでも売っているので、出先で買っても負担にならない。こうして傘は、パーソナルの持ち物なのに、ステータスがないものになっていった。
