2026年5月25日(月)

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2026年5月25日

 西アフリカのマリ各地で2026年4月25日、イスラーム過激派勢力と少数部族トゥアレグの分離独立派による蜂起が発生し、マリの国防相が殺害されるなど、情勢が一段と不安定化している。マリでは、旧宗主国フランスが22年8月に約9年半におよぶ軍事作戦を終了し、駐留部隊を撤収させた。その後、治安維持の一翼を担う存在としてロシア部隊の影響力が拡大してきたが、現地の治安状況は改善するどころか、むしろ悪化傾向を強めている。

イスラム過激派が一斉攻撃し、国防相も死亡したマリ(AP/アフロ )

 こうした中、イスラーム過激派の活動拡大がロシア部隊の駐留やマリの鉱物資源管理に及ぼす影響が注目される。同国は金やリチウムなどの重要資源を抱えており、治安の空白が広がれば、採掘権益や輸送ルート、外資の活動にも波及する恐れがある。

サヘル地域で活動するアルカイダ勢力

 イスラーム過激派の活動については近年、イラクやシリアなど中東地域で勢いが弱まっている一方、アフリカでは依然として活発な活動が続いている。中でも、マリ、ニジェール、ブルキナファソといったサヘル地域では攻撃件数が増加傾向にある。

 サヘル地域でイスラーム過激派の脅威が顕在化したのは、15年末から16年にかけて「イスラーム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)」主導の大規模攻撃が相次いだことである。15年11月のマリ首都バマコでのホテル襲撃を皮切りに、16年1月にブルキナファソ首都ワガドゥグでホテル襲撃が発生し、同年3月にはコートジボワール南部の観光地グランバッサムでも襲撃が起きた。

 これらの攻撃の背景には、AQIMが競合組織である「イスラーム国(IS)」のアフリカでの勢力拡大に対抗し、自らの存在感を国際社会に示そうとした狙いがあったと考えられる。その後、AQIMは北アフリカからサヘル地域へと活動の重点を移していく。17年3月には、4つの過激派組織「アンサール・ディーン」、「マーシナ解放戦線」、「AQIMサハラ支部」、「ムラービトゥーン」が集結し、AQIM傘下組織である「イスラームとムスリム支援団(JNIM)」が誕生した。

 JNIMはまずマリで攻勢を強め、フランス軍、欧州連合(EU)部隊、国連平和維持活動(PKO)が撤退せざるを得ない状況を作り出すことに成功した。フランス主導の対テロ作戦にもかかわらず、JNIMがマリ軍や外国部隊への攻撃を継続したことで、治安状況は一向に改善せず、外国部隊の駐留に対する不満もマリ国内で高まっていった。


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