シカゴ大学のPaul Poast准教授がニューヨーク・タイムズ紙に4月12日付けで掲載された論説において、ウクライナ戦争や米イスラエルによるイラン攻撃の例を挙げて、「今日、国家は目的達成のために軍事力の行使をためらわなくなっており、さらに個々の紛争が互いに直接的に影響し合うことを十分に認識しないことで、限定的な戦争が世界戦争へと発展する危険性がある」と警鐘を鳴らしている。要旨は次の通り。
イラン戦争が始まった時点で、世界は既に戦いの渦中にあった。過去2年間で、第二次世界大戦終結以来、国内および国家間の戦争が最も多く発生している。紛争が起こり続ける新常態が到来したのだ。
ウクライナ戦争が長期化し、米イスラエルによるイランへの戦争が脆弱な停戦協定の下で一時停止している今、私たちは、世界大戦が再び世界舞台に現れるのを目の当たりにしている。両紛争は、互いに直接的な影響を与え合い、周辺国を巻き込んでいる。
両紛争の規模と激しさは、二つの壊滅的な先の世界大戦には遠く及ばないものの、競合する国家が権力を行使する第一義的かつ主要な手段として軍事力を全面的に受け入れているという点において共通している。
わずか数週間のうちに、ウクライナ、イランの紛争は、大国間競争の象徴となった。両戦線において、ロシアと米国はいずれも相手方の敵対勢力を支援してきた。
それぞれの戦争は互いに影響を与え合っている。ホルムズ海峡封鎖が引き起こした世界的な原油価格の急騰は、ロシアにとり思わぬ経済的恩恵となった。
原油価格の引き下げを切望するトランプ政権による対露制裁の緩和もロシアの利益につながった。イランへの注目と資源の集中が進む中、ロシアはウクライナにおける領土拡大と強化を目指し、春季攻勢を開始した。一方、ウクライナは、ロシアとの戦闘で培ったドローン防衛の専門知識を、米国とイランの標的となっているアラブ諸国に提供している。
両紛争とも、他国を巻き込んでいる。ウクライナでは、ロシアの戦争遂行は、中国の経済的・技術的支援、北朝鮮の直接的な人的支援、そしてイランのドローンによって長期間支えられてきた。欧州の同盟国は、ウクライナへの武器供与においてますます重要な役割を果たしており、過去1年間は主導的な役割を担ってきた。
冷戦は世界各地に影響を及ぼす激しい紛争の時代であったが、当時の紛争には、今日欧州や中東で見られるような相互関連性や同時発生性は欠けていた。そして重要なことに、当時の超大国は軍事力の行使に慎重で、その行動を制約していた。
