2026年5月15日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月15日

 これには、彼らが蓄積していた核兵器の存在が少なからず影響していた。今日、プーチン氏とトランプ氏は、軍事力の行使によって自身の目的を達成することに対し、より無頓着な姿勢を示しており、経済的、社会的に及ぼし得る影響に対しても無関心だ。

 イランとウクライナの戦争を、並行して展開する二つの紛争としてではなく、世界的な出来事の一部として捉えることが重要だ。これらの戦争の関連性を考察すれば、グローバルな視点を持つことの必要性が明らかになる。

 ある地域での紛争は、ほぼ確実に他の地域に波及するだろう。ある紛争に資源を投入すれば、別の紛争への資源配分が減り、脅威を抑止したり、支援を必要とする同盟国を支援したりする努力が損なわれる可能性がある。

 安全保障問題が世界規模で展開していることを認識しないことこそが、国家をして意図せず限定的な戦争から世界大戦へと陥らせることになる。私たちは再び、世界大戦の時代への回帰を目の当たりにしている。

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「力による平和」への実験

 上記の論説は、今日の世界の動きの本質をとらえた重要な指摘であるが、では具体的に、トランプ政権の対応をどのように評価し、世界大戦のリスクを避けるためにどのような教訓を導き出すべきなのか。

 トランプ大統領は就任以来、一貫して「力による平和」を標榜してきた。国際法違反の行為に対し、これを非難する国連決議などだけで押しとどめることができないのは歴史の証明するところだ。

 「力による平和」の基礎にある信条は決して間違っていない。だからこそ、トランプ大統領が就任した時、多くの国が国際問題解決に対するトランプ政権の貢献を期待した。

 ところが、ロシアによるウクライナ侵略への対応に見られるように、トランプによる対露姿勢には恣意性が強かった。イラン攻撃については、正当性の認識が共有されず、戦争目標の設定には明確性が欠如していた。国際社会との協力姿勢も全く不十分だった。

 今日、米国による国際紛争解決のための様々な措置は、「力による平和」を現実の国際社会において実施しようとした場合にどのような問題が生じ、どのような教訓を導き出すことができるのかを知るための「実験」とも言える。このような「実験」ができるのは米国しかない。以下、この実験から得られる現時点での教訓を指摘しておきたい。


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