2026年5月12日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月12日

 ジョージ・ソロスが設立したOpen Societyの法律部門の事務局長を務めるゴールドストンが、国際法を無視するトランプによる武力行使により、国際法秩序は崩壊の危機にあるが、むしろこの状況を国際法の必要性を再認識する機会として活用し、国際法の再生に取り組むべきである、とProject Syndicateで論じている。主要点は次の通り。

(HJBC/gettyimages・AP/アフロ)

 トランプ大統領がイランに対して選択した戦争の悲劇的な結果が積み重なる中、「我々は『国際法の死』を目の当たりにしているのか」という絶望的な叫びが聞こえてくる。それは妥当な問いだが、もっと重要な問いは、この危機を機に、より多くの人々のために機能する国際法体制を再構築することができるかだ。

 2022年のロシアのウクライナ侵攻、そしてベネズエラやイランに対する米国の侵略行為は、第二次世界大戦以来、国家の行動を規律するために構築されてきた条約や協定、その他の法的規範から成る「ルールに基づく秩序」の最悪の状態を示している。

 トランプは「国際法など必要ない」と明言している。トランプ政権による基本的な規範への軽蔑は、多くの懸念を引き起こした。それは「ルールなき世界」を憂慮する者たちにとっての警鐘となるべきだ。

 国連はかねてより、国際法がなければ「混沌が生じる恐れがある」と警告してきた。その実態が明らかになった今、我々は、これまで限られた専門家や学者のエリート層の専有物であったものに、より広範な支持基盤を築く機会を得ている。

 中東全域を戦争に巻き込み、同盟関係を崩壊させ、経済的な不確実性を撒き散らすことで、トランプは知らず知らずのうちに、そもそもなぜ国際法が必要だったのかを我々に思い起こさせた。国際的な「侵略」、「人道に対する罪」、「ジェノサイド」といった概念は、単なる理論上の構築物としてではなく、世界が「二度と繰り返してはならない」と願う真の残虐行為に対処するための実践的な手段として考案されたものだ。

 しかし、国際法がより高い信頼性を獲得するためには、それを策定し運用する法律家や外交官たちが、武力紛争の規制であれ民間航空の統制であれ、国際法がいかに一般市民の役に立つかを、より明確に示さなければならない。米国が80年にわたり主導してきた国際的な取り組みに対し、現在米国が攻撃を加えている状況を踏まえると、米国外の改革派こそが、この取り組みを主導するのに最も適した立場にあるかもしれない。


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