まず、トランプに国際法全体を否定するようなレトリックをやめてもらう必要があるが、そのためには、トランプ発言を認めるか否かを中間選挙の争点とすること、実際に国際人道法違反が行われれば、戦争権限法違反と共に大統領弾劾の根拠とすること、さらに、過去にも例のある国際法遵守決議を議会が採択して政権に政治的圧力を加えること等が考えられる。
また、ウクライナについては、国際法違反側のロシア国民に再考を促すためには、ロシアに完全勝利させないことが極めて重要である。そして10月に予定されているイスラエルの選挙にも期待できるであろう。
いまだ重要な役割を担う
国際法が理想主義と現実との乖離の中で弱体化していることについての危機感は既に一部の国際法学者にも共有されており、対策として安保理改革が現実的でないのであれば、拒否権行使については、それを行使する際には説明を義務付ける等何らかの形で制限を課すこと、投資紛争やサイバーテロ等特定の事項について国際司法裁判所(ICJ)の義務的管轄権を拡大する新たな条約を策定すること、特定の問題についての志を同じくするミドルパワー諸国間の協力を強化する枠組みの強化といったことが提唱されている。
安全保障や関税等の分野以外では、国際法は依然として予測可能性の要として、国際経済や国際社会の安定に重要な役割を果たしていることも改めて強調する必要もあろう。
武力行使に関して、ロシアや中国は国際法の必要性までは否定しておらず、その意味で国際法は、単なる法規範というだけではなく、安全保障を含めて諸国家間の利害を調整するためのツールやプロセスとしての重要な役割があることについて再認識する必要もあろう。

