2021年に6本のデジタル関連法が国会で成立した。あの時、世間の話題になったのは、デジタル庁と大臣の新設だった。しかし当時は耳目を集めることのなかった「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が5年後の今、問題になっている。
同法律は、自治体ごとにばらばらだった基幹業務システムを統一の「標準化」とするもので、国の定める移行期限の26年3月までに半数超の自治体が間に合わなかったと報じられた(「自治体の半数が移行遅れ システム標準化、運用経費増も」時事通信)。その主因がベンダー(システムのソフトウェアやハードウェアを提供する会社)の業務が追いつかないからというのである。「標準化」の導入により、費用が増加したという自治体の声も出ている。
なぜ、業務が追い付かなかったのか。そこには、国が各地方自治体の現状を把握せずに、「スピード感」のみを優先させた可能性も出てくる。
立法当時、ベンダーや自治体の実態を調べたのか
地方公共団体は国会で法律が成立すれば忠実にその期限を守ろうとする。しかし今や、人手不足と業務量増加という状況下で、多くの仕事を民間に委ねている。
国は03年に地方自治法を改正し、地方公共団体が設置する体育館、図書館、公園、文化施設など公の施設の管理運営を民間企業、NPO法人、公益法人、市民グループなどに包括的に代行させることができる指定管理者という仕組みをつくり民間委託の流れを推進している。
地方公共団体の情報システムの構築と運営は従来から民間に委託されていた。国は21年に「標準化」に関する法律で期限を決めた時、現場の実態を調べなかったのだろうか。デジタル関連法を6本も作ればベンダーへの負担が増えることは明らかで、キャパシティを考慮しなかったのだろうか。
