2026年5月12日(火)

都市vs地方 

2026年5月12日

 そもそも地方公共団体と一口で言っても、その規模は人口1400万人を超える東京都から人口160人余の東京都青ヶ島村まで千差万別である。大都市から過疎の村までそれぞれに性質も違う。

必要となる業務は、自治体の規模によって変わってくる(WEDGE)

 情報システムの標準化といっても、標準化にプラスアルファが必要な地方公共団体もあれば標準化がオーバースペックとなる地方公共団体もある。

 近年特に現場の実態を無視して「スピード感」という一般向けするワードで無理押しする例が目立つ。今回の事態を反省し、国は民間や地方公共団体の現場の実態に十分配慮して立法すべきだ。

法改正による度重なる仕様の改変

 期限に間に合わなかった理由の一つとしてベンダー側は、デジタル庁や各省庁が策定する標準仕様書が毎年のように法改正や制度改正に応じて改変され、その度に設計やプログラムの見直しが必要となることを挙げている。地方公共団体独自の政策や広域連携の施策等に標準仕様書が対応できないという事情もあったようである。

 国が定める標準化の対象は、児童手当、子ども・子育て支援、住民基本台帳、戸籍の附票、印鑑登録、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、戸籍、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金の20項目である。

 近年は子ども・子育て支援政策などは毎年のように施策が充実しているので、皮肉なことに先行して標準化に取り組んだ自治体ほど、手直しが頻繁に必要となったという現象もあったらしい。

 システム標準化の経費は原則として100%、国費によって賄われる制度になっている。移行後の運用経費についても予定より高額になると想定されているが、国の補助金が予定されている。

 地方交付税の不交付団体等では予定外の出費を強いられる例があるかもしれないが、どちらも結局は国民の負担である。「スピード感」による無理な期限設定は場合によっては現場を混乱させ税を費消する。

必要なのは事務量の減少

 地方公共団体に共通する事務を標準化し、互いの事務を合理化すること自体は誰も否定しない。問題は、これを機会に国が地方公共団体の事務負担の軽減をはかる措置をきちんと講じているかということである。

 例えば、標準化の対象となっている20の事務には、「戸籍」と「戸籍の附表」の二つの事務が入っている。戸籍は「一組の夫婦とその未婚の子ども」を単位として編成され氏名、生年月日、性別、親子関係や婚姻関係、出生・死亡・養子縁組などが記載される。住所は直接記載されないが戸籍の附票という別の記録で住所の移動履歴が管理される。外国人配偶者は戸籍に入ることはできないが、結婚の事実は記録される。

 要は戸籍とは日本国民であることの証明であり、親子等の関係の記録である。だから国が戸籍事務をマイナンパーカードとリンクするように改善すればずいぶんと地方公共団体の事務負担が軽減される。


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