2026年5月6日(水)

Wedge REPORT

2026年5月6日

 公園や緑地の樹木を見ていて、ずいぶん立派に育ったものだと思う。筆者は小中学生のころ東京都新宿区に住んでいたが、町中のあちこちで公園が整備されていた。そこには必ず樹木が植えられたが、樹高も低く、樹冠(樹木の枝葉が集まった部分)も小さくて樹陰が少なく、公園全体が明るいイメージだった。ところが最近そのような公園へ行ってみると、樹木は見上げるように高く伸びて、枝葉を広げ、公園内はほとんどが木陰で暗くなってしまった。

写真 1 町の公園で大きく成長した樹木

 これと似たようなものが里山である。1960年ぐらいまでは、燃料用の炭や薪を生産するコナラやクヌギの落葉広葉樹林が多かった。人力で持ち運べるよう直径が10~15センチメートルぐらいで伐採されて炭や薪に利用される。

 広葉樹の切り株はそのままにしておくと、萌芽が伸びるので植林の必要はない。15~20年でまた伐採できる直径になる。こうした里山の中は比較的明るくて、冬には落葉し、春になるとカタクリやニリンソウなどの花が咲く。

 ところが燃料革命で薪炭材の需要がなくなると、伐採・更新されなくなったため、萌芽した樹木はどんどん成長して太く高くなってしまった。おまけに人の手が入る前の自然植生であった常緑広葉樹も侵入してきて勢力を広げ、里山は暗くなってしまった。

 最近あちこちの公園・緑地で倒木が起きて問題となっている。特に日本の春を象徴するサクラの倒木が目立っており、日本人が大好きな樹種であるだけに心を痛める人も多く、親しみ近づくために危険でもある。

写真 2 二次林とヤマザクラ

 サクラは里山にも点々と生えており、新緑の薄緑の中のアクセントとなっている。サクラは自然の力で再生する二次林を代表する樹種の1つであって、特に山火事跡や風害跡などでは群生することもあるが、比較的寿命が短く、後から侵入してきた植生に次第に凌駕されるケースが多い。

写真 3 公園のサクラの大木

 公園・緑地のサクラはもちろん人が植えたものであるが、寿命の短さは一緒である。全国的に同時期に植えられたものが、大木化した後に腐朽・老化・枯死に至る時期にさしかかっており、里山の状態と重なって見えるのだ。


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