2026年2月15日(日)

橋場日月の戦国武将のマネー術

2026年2月15日

 始まりましたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。主役の秀吉と秀長、その年齢差は3歳と言われている。

NHK番組ホームページより

 天文6年(1537年)と9年ですな。尾張国上中村(現在の名古屋市中村区中村町・中村中町・中村本町・元中村町・鳥居通)に生まれた兄弟は最近の説では同父兄弟と考えられており、ふたりが幼い頃に死んでしまったらしい。

 『明智軍記』では秀吉(藤吉郎)が信長に仕えたのは永禄元年(1558年)で、3年後に30貫文の所領になったとされていて、『武功夜話』は出仕が同年で同時に15貫文の所領を与えられた、としている。

 豊臣兄弟の生まれ故郷とされる上中村は、江戸時代前期の検地石高711石となっているから兄弟の時代はそれより少なく見積もって500〜600石といったところか。戦国時代の貫文単位に直すと250〜300貫だから、秀吉は織田家でのキャリアの初めの方で出身地の村全体の20分の1〜10分の1の田畑を手に入れた計算になる。まあ、この2つの史料はどちらも信憑性の点で慎重に検討しなければならないものではあるんですけど。

 仮に本当だとするなら、この時点で秀吉の年収は6貫文〜12貫文、54万円〜108万円となる。現代とは違って現金による消費生活はまだまだ未発達だから、最低限の暮らしはこれで成立できた。なにしろ消費経済が進んだ江戸時代でさえ、武家に仕える若党の年収は金3両(約30万円)、庶民なら1両で1年暮らせるというぐらいのものだったのだから。

 そう考えると、ドラマの冒頭付近で富農の坂井喜左衛門家が野盗に襲われる場面で秀長(小一郎)が喜左衛門の娘で幼なじみの直さんに(銭)10文で助けようと取り引きしたのは、900円ぐらいで1日分の生活費にも満たない、かなり直さんの側にお得な条件だった。


新着記事

»もっと見る