2026年5月27日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年5月27日

 米国のドナルド・トランプ大統領は5月13日、北京に到着した。国家副主席の韓正に迎えられ、動員された学生の中国式歓迎に包まれたトランプは、満足した表情を浮かべた。そして14日、習近平国家主席と会したトランプは、習を「偉大な指導者」「ともに素晴らしい未来を築く」と持ち上げた。

トランプ大統領は中国の天壇を習近平国家主席に案内され、賓客として遇されたが……(ロイター/アフロ)

 だが後述のように、会談では習から台湾問題などで直接的に釘を刺されるなど、中国側のペースで進んだと思われる。そのためかトランプは、午後に歴史的名所「天壇」を訪問した際、記者団の質問に答えず憮然としていた。

 15日にトランプは、中国指導部の最中枢「中南海」で、習と散歩を共にした。訪中した外国首脳が「中南海」に招かれるのはまれで、トランプは賓客として遇された。だが結局、共同声明・会見はなかった。

 これは米中に横たわる問題の複雑性に加え、トランプ政権下で米国の組織的能力が弱体化し、実務レベルでの調整が完了していなかった可能性を示唆している。言い換えれば、「素晴らしい貿易協定」を結んだと自賛したトランプだが、帰国時は「口約束」程度しか引き出せていなかったと考えられる。

 17日になってようやく、ホワイトハウスは『ドナルド・ジョン・トランプ大統領、米国の労働者・農家・産業のため、中国との歴史的取引を成立』という、大仰な題名の概要報告を公表する。アメリカが抱え込んだイラン問題では、同国の核兵器保持を認めず、ホルムズ海峡の開放と自由航行で、双方は一致したとする。また中国産レアアース供給で「中国は米国の懸念に留意する」とされ、中国によるボーイング製航空機200機の購入、農産物の3年間で170億ドル分の購入、畜産物の中国市場アクセス再開でも合意したとする。


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