2026年8月10日(月)

Wedge REPORT

2026年8月10日

 人材派遣大手5社(パーソルテンプスタッフ、リクルートスタッフィング、スタッフサービス、マンパワーグループ、アデコ)が、2026年6月初旬に公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り調査を受けた。報道によれば、派遣先企業に請求する派遣料金について各社が足並みをそろえ、値上げを図った疑いが持たれているという。 

(takasuu/gettyimages)

 もちろん、カルテルに該当するかどうかは今後の調査結果を待たなければならない。しかし、今回の問題は単に独占禁止法違反の疑いがあるというだけではない。むしろ、この出来事は、人材派遣会社が社会の中でいかなる役割を果たすべきなのか、その存在意義そのものを改めて問いかけているように思える。

 派遣料金の引き上げという点だけを見れば、それ自体を否定することはできない。近年、日本では物価上昇や最低賃金の引き上げが続き、企業の人件費も増加している。派遣社員の待遇改善が社会的課題となる中で、派遣料金を引き上げなければ十分な賃金改善は難しい。実際、「同一労働同一賃金」の導入以降、派遣会社には従来以上に処遇改善への対応が求められている。

 つまり、派遣料金の値上げそのものは、現在の社会経済状況を考えれば一定の合理性がある。だからこそ、今回問われているのは「値上げしたこと」ではなく、「競争によって決まるべき価格を競争事業者同士で調整した疑い」である。しかし、ここでもう一つ考えなければならないことがある。


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