メモの誤配をきっかけに中比防衛当局の対立が表面化したのは、ソウルだった。2012年に始まったソウル安保対話は、今年67の国・機関が集う国際会議に成長した。
時を同じくして、李在明大統領は国賓としてパリを訪れ、マクロン大統領と会談した。首脳会談と空軍共同訓練の傍らでは、空中給油機の追加導入をめぐる受注競争も進んでいる。
中比の対立が鮮明になったソウル安保対話
韓国国防部主催の「2026ソウル安保対話(SDD)」の本会議で9月8日、フィリピンのテオドロ国防相が、登壇中に誤って届けられた中国側のメモを読み上げ、逐一反論する一幕があった。南シナ海をめぐる中比対立が、第三国の会議場で表面化した。
国連海洋法条約の順守を説いていた最中に置かれた手書きのメモには、中国の「九段線」主張を退けた16年の仲裁判断は違法かつ無効で、受け入れないと記されていた。テオドロ氏は、(中国は)負けたのだから認めないのは当然だと切り返し、威圧であり侵略だと断じたうえで、メモを記念品として保管すると述べた。
主催者側によると、在韓中国大使館の駐在武官が運営要員に伝達を依頼し、要員がフィリピン側の依頼と誤解して壇上に届けたという。中国外務省報道官はその後、フィリピンの一部の人物にパフォーマンスと嘘をやめるよう求めた。中国は6月、同氏と家族を制裁対象にしている。
ソウル安保対話は、朝鮮半島の平和と地域の安保協力を目的に、韓国国防部が12年から毎年開く多国間会議だ。英国際戦略研究所が02年からシンガポールで開く閣僚級のシャングリラ対話に対し、国防次官級を軸とするのが特徴で、発足時は北東アジア初の次官級多国間国防対話の位置づけだった。だが当初20に満たなかった参加国・機関は、近年60を超えるまでに成長した。
15回目の今年は7日から3日間開かれ、67の国と国際機関から約1000人が参加した。国防相の出席はフィリピン、チェコなど4カ国(前年は5カ国)。全体テーマは「混沌の時代、新たな共存に向けて」で、本会議では国際秩序や防衛産業の供給網などを議論した。韓国側は10カ国と個別会談を重ね、安圭伯国防部長官は開会の辞で米朝対話の実現を強く望むと述べた。
冒頭で示した印象深いシーンは、特別セッションの1つ「海洋秩序の亀裂と協力」で起こった。

