2026年9月11日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年9月11日

 韓国の李在明大統領は就任後初の内閣改造で安圭伯国防部長官を更迭し、後任に予備役陸軍大将の姜信哲を指名した。陸軍士官学校中心の構造を崩そうとしてきた国防政策と、その陸士出身者に舵を委ねる人事は噛み合わない。そのような中で国防予算は前年比実質10%増の70兆ウォンを超えた。

李在明政権の国防政策に矛盾する長官人事

 李在明大統領は8月30日の改閣で、国防部長官候補に姜信哲・駐サウジアラビア大使を指名した。就任から1年2カ月で安圭伯長官が退く。

 人事聴聞会は9月16日に国会国防委員会で開かれる。国防部長官人事は国会の同意を要さず、聴聞経過報告書が採択されなくても大統領は任命できる。

 安氏は朴正煕らによる1961年の軍事クーデター以降、60年余り軍出身が独占してきた長官ポストに就いた初の民間出身者として注目された。だが、防衛兵服務時の軍務離脱疑惑をめぐる追及が続き、大田・自雲台に4年制の統合国軍士官学校を設ける基本計画を国防部が公表すると、予備役や同窓会の反発が噴き出した。改革の推進力を確保するために長官を代えた、というのが韓国メディアの見方だ。

 後任は陸軍士官学校46期。90年に任官し、第11師団長、合同参謀本部作戦本部長を経て、2023年に大将へ昇進して米韓連合軍司令部副司令官を務めた。25年9月に予備役へ編入され、今年初めから駐サウジ大使の職にあった。金大中政権から尹錫悦政権まで政権の色を問わず中枢ポストを歩んだ経歴には、専門性への高い評価と、政権に合わせる調整型だという評価が併存する。

 しかし、この人事は、李政権自身の国防路線とは噛み合わない。国防部は6月10日、軍情報機関の政治介入を断つとして国軍防諜司令部の解体を発表し、動向調査や世評収集といった権力型機能を廃止した。士官学校統合も、陸士中心の人事構造を崩す文脈で語られてきた。

 その象徴だった文民長官を下ろし、陸士出身の4つ星に委ねる。青瓦台の国家安保室1次長も国防秘書官も、陸軍参謀総長も陸士出身で、2期目の国防政策は陸軍が主導することになる。


新着記事

»もっと見る