2026年9月1日(火)

プーチンのロシア

2026年9月1日

 自身が始めたウクライナ戦争から抜け出せないロシアのプーチン大統領が、ウクライナへの核攻撃や北大西洋条約機構(NATO)加盟国への直接攻撃といった危機をあおりながら国際社会を恫喝する“瀬戸際戦略”を加速している。ウクライナ軍のドローン攻撃に翻弄され、自身の顔に泥を塗られ続ける中、再度のキーウへの地上軍作戦実施の可能性も取りざたされはじめた。そのような状況を受け、米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官は電撃的にロシアを訪問し、NATOへの攻撃を思いとどまるよう説得を試みざるを得なくなった。

モスクワを訪問したCIAのラトクリフ長官(AP/アフロ)

 ただ、これはプーチン氏を取り巻く厳しい現実を映し出している。すでにロシア軍は140万人規模の死傷者を出し、ウクライナの領土占領拡大は遅々として進まない。

 これまで戦争に関係がないかのように過ごしてきたロシアの大都市の住民らも、生活レベルで影響を感じ始めた。2022年2月に開始した戦争で、当初もくろんだ圧倒的勝利を得ることは非現実的だとの認識を、多くのロシア人は持ち始めている。

 9月の下院選を終えれば再び大規模動員を計画しているとされるロシアだが、それで失敗すれば政権基盤が揺らぐのは必至だ。新たな攻勢で確実に勝利を得るために、ロシアはウクライナに対するNATOの支援を崩すのに必死にならざるを得ない。プーチン政権の危険な火遊びに再び世界が脅される構図が浮かび上がっている。


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