2026年9月1日(火)

プーチンのロシア

2026年9月1日

 ロシアは繰り返し、NATOによる支援の継続がウクライナの継戦能力を維持してきたと主張してきた。米軍や欧州の軍部隊は直接的には戦闘に参加していないものの、戦略の策定や情報提供、武器の供給などでウクライナを支えてきたのが事実だ。そのようなNATOによる支援の流れをロシアは断ち切りたいと考え続けてきた。

 米メディアは、ロシアがNATO加盟国を限定的に攻撃する案を検討する兆候があると米国が評価しており、具体的にはバルト三国にサイバー攻撃や小規模な地上侵攻をしかける可能性を指摘している。バルト三国は旧ソ連諸国であり、ロシア、またはベラルーシと国境を接している。小国である一方、多数のロシア系住民が居住しており、それらの住民の支持を受ける政治家が活動を行う国もある。ロシアにとり、格好の標的となるのは間違いない。

 ウクライナ戦争も、サイバー攻撃と実際の軍事攻撃をかけ合わせたハイブリッド攻撃から始まった。

 特にサイバー攻撃は、金融機関や交通インフラなどの通信ネットワークを麻痺させ、住民の生活に深刻な脅威を与えることができる。一方でロシアがその犯行を認める可能性はゼロに近い。不明瞭な事態が進む中、社会が混乱し、人々に強い恐怖心を植え付けることができる。

 ロシア語話者住民に対してウクライナ軍などが攻撃を仕掛けたと偽情報を流し、彼らを保護するとの名目でロシア軍が攻撃を仕掛ける可能性もある。そのような工作はウクライナ戦争でも、それ以前のロシアがかかわった戦争でも常に見ることができた。

瀬戸際戦略

 ただ「核」「首都侵攻」「NATO諸国への攻撃」をちらつかせるロシアの戦略は、それだけプーチン氏が追いつめられている現状を裏付けているともいえる。

 「新たな動員に関する話は、ウクライナ当局によって仕組まれたものだ」。ロシアのペスコフ大統領報道官はそう言って、新たな大規模動員の可能性を打ち消す。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は7月末、ロシア当局が9月の下院選挙後に、30万~50万人規模の兵員の新規動員を行うとの見方を示した。米メディアは8月、ロシアからビザなし渡航が可能なジョージアに、南部の検問所から1週間で11万人以上が流入したと報じた。

 背景には、22年の戦争開始時と同様に、ロシア当局による徴兵を避けたい目的があると指摘している。報道によれば、ロシア当局は兵役経験がある予備役に相当する人々をめぐる調査活動を加速しており、当該男性が身を隠す可能性がある親族の住所まで調べているという。

 制度上でも徴兵制度を厳格化する動きを強めている。ロシア政府は3月、徴兵手続きをめぐり従来の書面による召喚ではなく、電子召喚状を利用することを義務付けた。紙の召喚状では、受取人がサインをしなければ効力を発行しないが、デジタル召喚状は発行されればすぐに効力を発揮し、当該者に対して国境警備隊が出国を禁ずるなどの措置をとることができる。


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