2026年9月1日(火)

プーチンのロシア

2026年9月1日

 22年2月に始まった全面侵攻以降のロシア軍死傷者数について、米戦略国際問題研究所(CSIS)は7月1日の発表で約140万人との推計を公表し、そのうち死者数は約40万~45万人規模とした。英政府は5月に、ロシア軍の死者数が50万人を超えたとの分析を公表しており、空前の規模になっている。

 ロシア軍は地方の困窮する中高年者まで報奨金で駆り出して、戦争に投入してきたが、地方自治体の財政悪化で報奨金の拠出が困難になっている。死亡、または重傷を負う兵士数は1カ月あたり3万人規模に達しているとも推計され、これは入隊ペースを上回っているとされる。経験値が少ない兵士を無理に駆り出して、戦場に投入している可能性が極めて高い。

 当局による無謀な徴兵から身を守るため、そのような標的となりやすい貧困自治体において、男性らが自衛組織を作る動きも報じられている。

 そのような状況で予備役の大規模動員を実施すれば、ロシア国内の社会不安が高まるのは必至だ。いずれにせよ、作戦を成功させるには、動員を避けたり、損害を著しく低減できるほどウクライナに打撃を与える必要があり、そのためにはウクライナを支援するNATOの動きを抑え込む必要がある。

問われるNATOの結束

 トランプ政権下の米国が不安定な姿勢を示し続ける中、NATOに加盟する欧州諸国がロシアの脅威にいかに対抗できるかが強く問われている。

 23年にNATOに新規加盟したフィンランドのストゥブ大統領はドイツメディアのインタビューに対し、ロシアがNATOに攻撃を実施することはないと語った。その理由として「NATOの抑止力システムは世界のどの軍事大国のシステムより強力だ。このシステムは通常兵器、ミサイル、核兵器に依拠しており、どの国もこの同盟の決意を試す理由はない」と断じた。

 ただ追いつめられたプーチン氏の動きは推測が困難だ。仮にNATO攻撃を避けても、ウクライナに対する攻撃のエスカレーションを計画していることは疑いようがない。5年目に入ったウクライナ戦争は、再び重大な局面を迎えようとしている。

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