2026年8月2日(日)

JAPANESE, BE AMBITIOUS!米国から親愛なる日本へ

2026年8月2日

 7月4日は米国の独立記念日だった。1776年に英国から「独立宣言」が公布されたことを記念し、米国ではもっとも盛大な祝日の一つである。

アップルの画期的な製品は、徹底的な「対話」によって生み出された(JUSTIN SULLIVAN/GETTYIMAGES)

 ただし、現在は「英国から独立した」ことを祝う感じは希薄で、家族、友人との和やかで楽しいお祭り的な1日である印象が強い。当日は、私も同僚やその配偶者とバーベキューや花火大会を楽しんだ。

 私がQEDを創業して今年で20年が過ぎた。その間、同僚たちと何度も集まり、様々なことを語り合った。忖度なしに語り合える環境は、信頼関係がないと成立しない。

 どんな組織も「リーダーの器の大きさの写しである」と私は考えている。組織の人間たちをつないでいるものは、その組織が創り出すカルチャーだ。カルチャーは日頃のコミュニケーションから形成されていくが、それはリーダーから始まる。

 全てに精通するリーダーはおらず、様々な強みを持った人材を周囲に配置してチームを作る。私がもっとも重要だと考えるのは、その人に備わった精神性だ。物事に取り組む姿勢が前向きか、正直であるか、「必ずできる」と信じて前進できる楽観性があるかが大事だ。逆に、嘘を言ったり、否定的な態度をとる人材は組織に必要ない。

 カルチャーや信頼関係でつながっているからこそ、様々な困難に挑戦できる。透明性を持った相互の信頼関係こそが全ての原動力である。

 先日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)理事会と米日カウンシル評議会で一緒になるジェームス比嘉さんと、話す機会があった。彼はスティーブ・ジョブズの最側近の一人だった。私が「スティーブから学んだことで一番心に残っていることは?」と尋ねると、彼はしばらく考えた後、「カンバセーション・エンジンという考え方だろうか」と答え、こう話し始めた。

 「スティーブは何かを決める時に幹部を集め、意見を徹底的に聞いた。それぞれに癖があるから、こう言ったらあの人はこう言うだろう、ではどう説明すれば納得してもらえるだろうか、と想定ができる。スティーブはおそらく全員の性格と癖を見抜いていたうえで、アップルの将来を左右する重要議題を事前に与え、出席者に想定問答を会議に来る前に徹底的に考えさせた。

 だからこそ会議が始まると討論の質は自然と深まり、皆が納得するコンセンサスを作る土壌が醸成されていった。そうやってアップル独特のイノベーション・カルチャーができていった。時にスティーブが自分の言っていたことが間違っていたと認め、皆に謝って、方向性を変えたこともあったよ」

 イノベーションを生み出す原動力は、深い考察に基づいた徹底的な「対話」であり、真剣な対話にはすごい力があることを示す一例だ。


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