8月7日付けウォールストリート・ジャーナル紙は、「サウジアラビアはアブラハム合意を拒絶」との社説を掲げ、同日署名されたサウジアラビア・トルコ・パキスタン相互防衛協定について分析している。概要は次の通り。
中東で新たな地域的枠組みが形成されつつあるが、それは、米国が望むサウジアラビア・イスラエル・アラブ首長国連邦(UAE)連携ではない。8月7日にサウジアラビア・トルコ・パキスタンはメッカでメッカ合意に署名した。
スンニ派勢力のこの3カ国は、加盟国のいずれかに対する攻撃は全加盟国に対する攻撃と看做(みな)すことに合意した。3カ国は公式には米国の同盟国だが、これはアブラハム合意とは違う。
サウジアラビアはイランとの関係でより融和的な相手を選ぶことにした。トルコとパキスタンは、控えめに言ってもテロ対策で信頼に欠ける。トルコのエルドアン大統領は、ハマスを聖戦士と称賛している。パキスタンのタリバンとアルカイダとの関係は、良く言っても二股だ。エジプトは首脳会合には出席したが、メッカ合意には参加しなかった。
この新たな枠組みには実質的意味が無いかもしれない。インドとパキスタンが交戦する際に、トルコとサウジアラビアが激戦に参加するとは信じ難い。
サウジアラビアは2025年にはパキスタンと相互防衛条約を結び、現在のイラン戦争でパキスタンはサウジに防空砲兵隊を送ったとされる。それは、戦闘部隊というよりは政治的シグナルだ。まさにそこがポイントかもしれない。
これは北大西洋条約機構(NATO)第5条ではない。イランのミサイルがサウジアラビアに発射された際に、サウジアラビアが連絡するのは、トルコやパキスタンや中国でさえなく、引き続き米国だ。それが最も重要だ。
しかし、今回の防衛条約は他の意味を持ち得る。トルコの最重要の目的は地域的影響力の強化だ。それは、シリアにおける支配的駐留や北キプロス、イラク、カタール、リビア、ソマリアへの軍事進出の伸長からも明らかだ。
他国との関係強化は、将来の武器輸出と共に、外交的影響力を強化する。パキスタンは、米国・イランを仲介し、各種出来事の中心に居ることの利点を感じている。イランとの紛争を収め石油・ガス供給を維持するのは、パキスタンの中核的経済的利益だ。
