地域的調整は一つのやり方だ。サウジアラビアは、イラン戦争の真っ最中に対外関係を多角化し、守護者である米国に対する信頼低下を示している。サウジアラビアは、イスラエルさえ大きく上回り、イランをちっぽけに見せる、年間800億ドルの防衛支出をしているが、輸入武器は戦闘経験と戦闘意欲を代替しない。トルコとパキスタンとの合意は、この点を補うかもしれないが、サウジアラビアは、いまだ地域秩序を主導する能力を示していない。
さらに、核兵器との関連もある。トルコが核兵器の要素を含みうるサウジアラビアとパキスタンとの合意に参加するのは要注意だ。
2月にトルコのテレビ生放送で、トルコは核兵器を持つべきかと問われ、トルコ外相は、暫し沈黙し笑顔で応じた。これら全ては、議会がサウジアラビアとの原子力合意からサウジアラビア国内でのウラン濃縮を削除することの重要性を増している。
超大国が不安定化すると、地域勢力が自身のための枠組を作り始める。地域勢力の一層の責任分担に繋がれば良いが、同盟国が我々の利益を害して敵方を受容するようであれば良くない。サウジアラビア・トルコ・パキスタンの動きは後者のように見える。
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合意の3つの意味
このメッカ合意締結は、色々な意味を持つ。まず、「アブラハム合意」は、中東から本格的に撤退しイスラエルに湾岸諸国を防衛させる(そのためには、イスラエルと湾岸諸国との関係正常化が必要になる)という米国の目論見を具現化するものだが、その「アブラハム合意」の考え方が終焉したことを意味する。
その背景には、米イラン戦争長期化と湾岸への波及、イスラエルの強大化、約束を守らない米国(サウジアラビアとの原子力協力協定の「ちゃぶ台返し」)など色々の事情があるが、ともかく、中東から退くという米国の目的実現は、これで一層困難になった。
第二は、中東での「覇権」争いだ。サウジアラビアは既にパキスタンと相互防衛条約を締結しており、メッカ合意の実質的意味は、それに、イランにかわる新覇権国となることを目論むトルコが参加したということだ。
トルコがイスラエルに対抗する上でサウジアラビアとの連携は非常に重要だ。ちなみに、メッカ合意の条文は未公表だが、報道によればこの合意は他の国の参加に開放されている由だ。
イラン戦争が、イランが十分弱体化する形で終われば、イランがこの枠組みに参加する可能性もあるだろう。共通の敵はイスラエルであるし、それにより、ホルムズ海峡の開放を維持し、フーシ派の行動をコントロールできれば、サウジアラビアにとっても大きなプラスだ。
