2026年8月4日(火)

プーチンのロシア

2026年8月4日

 ウクライナ都市部への相次ぐ弾道ミサイル攻撃など、ロシアによる侵攻作戦が再び苛烈さを増す兆しを見せている。7月までにウクライナ軍は、ドローン攻撃でロシアの石油精製施設を繰り返し破壊し、重要な流通網に成長したネット通販の倉庫にも打撃を与えた。前線でのロシア軍の進軍ペースは落ち込み、戦争終結の必要性を訴える専門家の意見が一部のロシアメディアにも掲載され始めるなど、ロシア側の反応が注目されていた。

(代表撮影/ロイター/アフロ)

 ただ、それらの事態がプーチン大統領の考えを変えるきっかけにはならなかったもようだ。プーチン氏は7月末、「停戦を求めているのは、ウクライナに武器を供与している欧州だ。なぜか。それはウクライナが勝っていないからだ」と停戦を促す声を一蹴した。

 通常兵器の生産を拡大し、新たに50万人規模の徴兵を計画しているとも伝えられている。秋以降には、再び大規模な攻勢を仕掛ける可能性が高い。

 死傷者の増大などによる政権に対する不満の芽は、社会への監視を強めることで徹底的につぶしている。メディアや議会など政権を抑制するシステムが稼働しない独裁国家のロシアでは、トップの愚行に国民はただ、つき従わざるを得ない実態がある。

相次いだウクライナ側の「戦果」

 「この攻撃が続けば、ロシアの零細企業は生き残れないだろう。ネット通販以外、販売の手段を持たないからだ。ワイルドベリーズを補完できる販売サイトは存在しない。被害額はすでにワイルドベリーズの年間売上高を超えており、補償は容易ではない」

 ロシアの経済専門家は、7月に激化したウクライナによるロシアネット通販サイト、「ワイルドベリーズ」の倉庫へのドローン攻撃の影響をメディアにこう解説した。ウクライナ軍は7月下旬までに、モスクワ州やレニングラード州、タンボフ州、クラスノダール地方などの、少なくとも10カ所あまりのワイルドベリーズの倉庫や物流施設への攻撃に成功した。攻撃を受けて同社の倉庫が各地で燃えさかる様子はSNSを通じて瞬時に広がり、戦争が都市部のロシア人の生活にも影響を及ぼす構図が鮮明になった。

 ロシアは小売業全体の約26%がオンライン販売で成り立っているとされる。国土が広大なロシアでは、小規模企業が店舗などを設けて各地に販路を開拓するのは容易ではなく、販売はネット通販サイトが頼みだ。ワイルドベリーズのサイトには防弾チョッキなど戦闘用の資材もあふれており、攻撃は様々な角度からロシア社会を揺らしている。


新着記事

»もっと見る