2026年10月2日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月2日

 Foreign Policy誌(Web版)は9月1日付けで、ドローンなどの新たな技術の出現によって、攻撃よりも防御が容易な時代になってきていると指摘するスティーブン・ウォルトの論説‘Welcome to the New Defense-Dominant World’を掲載している。概要は次の通り。

(Chaninan Boongate/MikeyGen73/Stiggdriver/gettyimages)

 ロシアによる考慮不足のウクライナ侵略、同様に愚かな米国のイランとの戦争によって、世界は「防御優位」の時代に入ったと考えられる。それは、大きく力のある国が領土を奪ったり、弱小国から大きな譲歩を引き出したりすることが難しい時代である。

 そうなったのは、高度の機能を持つドローンや正確なミサイルの開発、偵察・標的設定能力の向上により、開かれた空間に展開する大部隊は、隠れている防御側からの攻撃を避けることができなくなったためである。また、航空母艦やステルス航空機といった戦力投射能力が防御側からの攻撃に脆弱となった。

 そうした状況によって問われる大きな論点は、軍事力の有効性に転換が起こることになるのかどうか、である。(国際関係理論、安全保障理論における)攻防理論は、征服することが容易か困難かによって、各国の安全保障状況や他国との関係に大きな影響があると論じてきた。

 攻撃が容易であるならば、多くの国は、攻撃的な戦力態勢と軍事ドクトリンを取る。すると、危機の安定性は低下し、悪意を前提とする認識をお互いに持つことになる。

 一方、防御が攻撃よりも容易であれば、状況は反対となる。先制攻撃を仕掛けることや予防戦争を行うメリットは失われ、防御的な戦力やドクトリンを取りやすくなる。安全保障のジレンマは起こりにくくなり、国際協力を維持しやすくなる。

 それでは攻防バランスを決めるのは何なのか。機動力、火力、不意を突く能力、地理、外交の効率性、政治的結束などが言及されてきたが、要は、新たな領土を征服することが容易か、それとも自らの領土を守ることが容易か、が問われるのである。


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